万葉歌詠む場面表現 新湊の放生津八幡宮で築山行事

飾人形などが置かれた築山を見上げる参拝客

 射水市八幡町(新湊)の放生津八幡宮の「築(つき)山(やま)行事」は2日、境内で執り行われた。仏教の「須弥山(しゅみせん)」に見立てた祭壇に神を招く「神仏習合」の形式を残した築山に参拝客が見入った。

 築山行事は1日の曳山(ひきやま)行事「新湊曳山まつり」と共に県の無形民俗文化財に指定されている。築山、曳山とも伝承されているのは全国でも珍しいという。

 築山は松の古木を背に設けられ、中央に主神の「姥(うば)神(がみ)」、四隅にはそれぞれ毘沙門天、持国天、増長天、広目天の四天王を配した。

 最前列の「飾(かざり)人形」は客人とも呼ばれ、毎年、氏子がテーマを変えて手作りしている。

 今年は、万葉集が新元号「令和」の典拠となったのにちなみ、大伴家持の父、旅人(たびと)が山上憶良を招いて宴を催し散りゆく梅の歌を詠んだ場面を表現。旅人と憶良のそばで筆を執る家持の人形も置いた。

 拝殿では鳥や魚を放って生類供養を行う「放生会(ほうじょうえ)」が営まれた。殺生を戒める仏教の教えに基づくもので「放生津」の地名の由来とされる。「放生津八幡宮築山・曳山保存会」による現地解説会も開かれた。

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