増えるツキノワグマ「絶滅寸前」指定見直しへ 生息数4倍以上に

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おりにかかったオスのツキノワグマ(2019年7月18日、京都府舞鶴市多門院)=新谷一幸さん提供

 京都府内でツキノワグマの生息数が増えている。昨年度の府調査では、16年前の4倍以上となる1400頭に達した。府はこれまで、ツキノワグマを絶滅寸前種に指定して狩猟を禁じ、保護してきた。しかし、人家に近づくなど危険な状況も増加しており、府は狩猟解禁も見据え、来年度にも絶滅寸前種指定を見直す方向で検討に入る。

 府内のツキノワグマは、2002年度には300頭(丹後個体群120頭、丹波個体群180頭)にまで減少し、府は同年度、府レッドデータブックで絶滅寸前種として狩猟を禁止した。昨年度の調査では1400頭(丹後900頭、丹波500頭)にまで回復したという。

 目撃数も近年は毎年千件を超え、今年は4月から9月17日までで789件と前年を上回るペースだ。通報を受けての捕獲も15年度の43頭から、18年度は103頭に、本年度は9月時点で104頭となっている。

 環境省ガイドラインでは「1個体群が800頭を超えれば安定して存続できる」とあり、府は今後、専門家による生息数などの調査をした上で、絶滅危惧種の指定を見直し、シカやイノシシなどと同様に狩猟を解禁する方向だ。

 府農村振興課は「16年には人が襲われた事例が4件あった。人命を守るため、頭数を適正に管理したい」とする。一方で、ツキノワグマが人家付近に現れるのは、森の荒廃や、高齢化で柿の木の実が放置されるなど、人間の自然との関わり方にも問題があり、「農地と山の間に緩衝帯をもうけたり、農地に作物を残さないなど管理を進め、人里にクマが近づかないための対策も強化したい」としている。

 ツキノワグマは九州では絶滅し、四国もごく一部に生息するのみ。本州ではこれまで、京都府以西で数が少なく保護のため狩猟を禁じる府県が多かったが、兵庫県が2016年度に狩猟を解禁している。

■住民ら「早めに対処を」 舞鶴で目撃相次ぐ

 舞鶴市では今年、ツキノワグマの目撃情報が相次いでいる。人的被害は出ていないものの、住民たちは不安を抱えている。

 市東部にある山あいの多門院地区では、5月下旬にオス1頭がイノシシやシカ用のおりにかかった。さらに7月中旬にも、別のおりでメス1頭と子グマ2頭が捕獲された。

 同地区では、5月ごろからたびたびクマが目撃され、張り紙などで住民に注意を呼び掛けている。区長の山本哲弘さん(52)は「昔からクマは出没していたが、今年は例年より少し多い。今後被害が出るとも限らない。なんとか早めに対処してほしい」と願う。

 市によると、4月から8月末までの5カ月間で、前年同時期の約1.7倍にあたる188件の目撃情報が寄せられた。昨年度16頭だった捕獲数は、本年度は8月末までに35頭に上った。

 市農林課は「個体数が推定以上に増えているのが、目撃情報の増加につながっているのでは。放置果樹や生ごみの撤去など、クマを寄せ付けない取り組みを市民に呼び掛けている」としている。