第9回 オリジナルマナー

私はいろんなことが気になる。しかし気にしない人のほうがカッコ良いと思うので人前では一切気にしていないふりをする。たとえば家の鍵を閉めてきたかどうか気になってしまうことがあって、私一人ならば確かめに戻ることがあるが、他に人がいるとまったく平気なふりをしてしまう。

また、他人のことも気になってしまって、できるだけその人が嫌な気持ちにならないように行動することが多い。気遣いができる人、と言えば聞こえはいいが、自分でも分かるほど過剰すぎることがある。

そんな私であるから、自分なりのオリジナルマナーが多い。今回はその一部を紹介しよう。

①コンビニにコピーに行った時、コピー機を使っている人がいたら、プレッシャーを与えないように並ばない

離れたところから終わるのを待つか、あるいは他の店に行く。

②コンビニのコピー機を使っている時に後ろに誰か並んだ場合は途中でも譲る

待たせるのが悪いと思ってしまう。

③本屋で自分が見ている棚に他の人が来た時は一度立ち去り、その人が見終わった後に再び続きを見に行く

過剰なほどの譲る精神である。

④ファストフードなどで良さげな席が空いても、その席にいた人が店から出るまでそこには移動しない

すぐに座るとその人が嫌な気持ちになるような気がするからだ。

⑤カウンターに4席あって、真ん中ふたつしか空いてない場合、どちらかの隣に座ると鬱陶しがられる可能性があり、逆に隣に座らないと「私のほうは嫌なのかな」と思われそうなので、どちらにも座らないのがベスト

ひとつだけ空いている間の席に座るのも「なんだこいつ」と思われそうで躊躇する。

⑥何も買わずに店を出る時は名残惜しそうに看板を見るなどして、できるだけ興味あるふりをする

基本的に何も買わずに店を出ることができない。店員への要らぬ気遣いだ。

⑦レシートはレシートをくれた人の目の前で捨てない

嫌な気持ちにさせるのではないかと思ってしまう。これも要らぬ気遣いだろう。

⑧釣りをしてる人の後ろを通る時、一応「何を釣ってるんだろう?」みたいな顔をする

犬を散歩させている人とすれ違う時は一応「あら、かわいい」という顔をするのと同じだ。

⑨生鮮食品売り場では、生鮮食品に詳しい顔をする

このほうがカッコ良く見えそうだからだ。

⑩「うまい」と言った後にそこがチェーン店だと知っても、評価は覆さない

たとえ「逆に」とか「一周回って」と付け加えたとしても発言は撤回しない。

⑪右に行かなければいけないのに、一緒にいた相手が左に曲がった時は、自分も左に曲がり、相手が「あれ。間違えたかな」と言ったら自分も「そうですね」と間違えに気づいたふりをする

「左から行くほうが実は近道なのかもしれない」と思い、行動を否定できない。

⑫ライブの物販の前を通る時、一応吊るされているTシャツを見て「なるほど」という素ぶりをする

こうすることで見ず知らずの人が喜ぶと思っているのだ。実際には誰も見ていないことも知っている。

⑬お金を借りる時、相手が財布からお金を出すところを見ない

ガツガツしたところを見せないようにする。

⑭博物館などにある「説明してくれるボタン」を押したら、説明アナウンスが終わるまでその場にいる

自分の行動には責任を持ちたい。同時にアナウンスを制作した人がどこかで見ているかもしれないので、興味があるふりをするのだ。

⑮美容室で最後「こんな感じです」と鏡で見せられたら結局は「大丈夫です」と言うのだが、「今、最終確認してます」という表情をする時間を挟む

絶対に「大丈夫です」しか言わないのだが、確認する動きを入れることによって説得力を持たせる。これは美容師さんの仕事を褒めることにもなるのだ。

⑯相手の話したそうな気配を察したら、知ってることでも知らないふりをする

知識を披露したがる人には有効である。

⑰レジに並ぶ前に財布の中の小銭をあらかじめ確認し、支払いをできるだけスムーズにする

バスに乗る時も同様だ。

⑱ポイントカードを提示するつもりである時は、レジに並ぶ前に準備しておく

「ポイントカードありますか?」と訊かれてから探すと、少なからず誰かを待たせることになる。

⑲街で写真を撮っている人の邪魔にならないようにする

とにかく自分のせいで誰かの動きを止めるのが嫌なのだ。

⑳居酒屋でスポーツ中継をみんなで見ている形になった時は、「おー」とか「惜しい!」とか、あえて声を出す

盛り上がりに水を差さないようにしたい。

㉑まだ店を出ないのに勘違いした店員に「ありがとうございました」と言われた時は聞こえていないふりをする

ある種の優しさである。「まだ出ませんよ!」とわざわざ説明する必要もない。

以上、私のオリジナルマナーの一部である。

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