「あらゆる論点で議論を」 開門派訴え、農相は難色

有明海の漁場環境回復を訴える漁業者の中田さん(右から3人目)=佐賀市、ホテルニューオータニ佐賀

 「みんながよくなる解決を目指し、あらゆる論点で議論する場をつくってほしい」-。2日に佐賀市内で開かれた江藤拓農相と開門派漁業者らの意見交換会。開門派の馬奈木昭雄弁護団長は法廷外での対話を求めたが、江藤農相から色よい返事はなかった。わずか30分程度の時間設定に対し、終了後、馬奈木団長は「顔見せ程度だった」と皮肉った。
 「開門しないことを前提とした意見だけをお聞きにならないでください」。国の基金案での和解方針を堅持する江藤農相に対し、馬奈木団長はさまざまな立場の意見を聞くよう迫った。マイクを握った佐賀県の漁業者、平方宣清さん(66)は「私たちは金が欲しいんじゃない。豊かな有明海が欲しいんです」。島原市の漁業者、中田猶喜さん(69)も「今の状態ではなりわいが立つのか見通しが立たない」と窮状を訴えた。
 有明海の再生を願う切実な声に、江藤農相はメモを取りながら、口を真一文字に結んだ。対話の必要性には一定の理解を示しつつ、「(開門に賛成、反対の人が)漏れなく集まっていただくのが大前提」と答えるにとどめた。
 一方、本県では雲仙市吾妻町と諫早市の中央干拓を視察。柳ファーム(雲仙市)の柳龍介社長(59)が開門問題に触れ、「農業が安心してできるようお願いしたい」と要望すると、江藤農相は「営農に影響が出るような判断はまずいと思う」と応じた。

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