東京大学木曽観測所、計1億9000万画素の観測装置「トモエゴゼン」を本格稼働

東京大学木曽観測所は9月30日、同観測所の天体望遠鏡に設置が進められてきた観測装置「Tomo-e Gozen(トモエゴゼン)」による観測が10月から本格的に始まることを発表しました。

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■2億画素近いセンサーで「突然発生する」現象をキャッチ

トモエゴゼンはキヤノン製のCMOSセンサーを84個並べた、いわば超大型のデジタルカメラのような観測装置です。センサー1つで2000×1128画素、すべてのセンサーを合わせると約1億9000万画素(190メガピクセル)に達します。

木曽観測所の105cmシュミット望遠鏡に設置されたトモエゴゼンは、1つのセンサーで満月1つ分の視野を持ちます。それが84個備わっているわけですから、一度に観測できる範囲は満月84個分。望遠鏡の向きを少しずつ変えていくことで、一晩で空の同じ場所を何度も撮影することが可能です。

そんなトモエゴゼンに期待されているのは、短時間で変化する突発的な天文現象の観測です。同じ場所を一晩で何度も観測できるトモエゴゼンなら、超新星爆発の発生や彗星が急激に増光(アウトバースト)するその瞬間を捉えることも不可能ではありません。

また、これまでの観測機器では捉えることができなかった、人類がまだ知らない未知の突発的な天文現象が、トモエゴゼンの観測によって初めてキャッチされる可能性もゼロではないのです。

本格的な観測活動はこれからとなるトモエゴゼンですが、試験運用中にも成果を上げており、今年3月には小惑星「2019 FA」を、4月には超新星「SN 2019cxx」を相次いで発見しました。

空の広範囲を短期間で観測する「掃天観測」の分野では、すでに「パンスターズ(Pan-STARRS)」「ASAS-SN」といった先行するプロジェクトが幾つが存在し、成果を上げています。ここに木曽観測所のトモエゴゼンが加わることでどのような発見がもたらされるのか、今後の観測結果に注目です。

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Image/Source: 東京大学木曽観測所
文/松村武宏

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