【どうなる病院再編】医師確保の可能性模索

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再編・統合の対象とされた三原市の三原赤十字病院

 「人口減少もあって既にうちは患者が減り始めた。経営的にも病院再編を検討せざるを得ない」。三原赤十字病院(広島県三原市、226床)の脇谷孔一事務部長は患者数の推移を記した資料を示し、そう明かした。

 三原赤十字病院は、厚生労働省が9月26日に「再編・統合の議論が必要」と具体名を公表した公的病院の一つ。西に2キロ余り離れた三原市医師会病院(200床)と共にリストに挙がった。

 ▽80%台割る日も

 三原赤十字病院が再編を視野に入れる背景には、医師不足がある。2007年に26人いた常勤医師は現在20人に減った。産婦人科は分娩(ぶんべん)を扱うのをやめ、循環器系の入院治療も他院に委ねる。12年以降、赤字が続き、ことしは病床稼働率が80%台を割る日も。単価が低いのを承知で、ベッドの4割を地域包括ケア病床(回復期)に転換した。

 同病院の渡辺誠院長は「若手医師に選ばれる症例の多い大病院になるため、市医師会病院との統合も含めて相談したい」と見据える。

 三原赤十字病院のように、病床転換や病院再編・統合に前向きな例は広島県内ではまだ少ない。

 県が16年にまとめた地域医療構想では、25年に県内で必要な病床数を2万8614床とし、14年比で4357床(13.2%)削減する目標を掲げる。しかし、県医療介護計画課の福永裕文課長は「圏域全体で病床を減らすことに賛成でも、自分の所は現状維持を望むという状況が目立つ」と指摘する。

 ▽医療崩壊の不安

 厚労省が病院名を公表したのは、再編に「総論賛成、各論反対」で停滞する地域の議論を動かすためだ。ただ、その異例の手法に、再編に理解を示す医療関係者の中にも「地域医療の崩壊につながりかねない」との不安がくすぶる。

 「国が口を出しやすい公立・公的病院だけの数合わせの病床減らしなら意味がない。大学は、公立・公的病院が急性期医療を担うから医師を派遣してくれるのに、そこを縮小しては地域の医師確保が難しくなる」。三原市医師会の木原幹夫会長は懸念する。

 同市医師会病院は現在、黒字で再編・統合の検討はしていない。ただ、木原会長は「人口が減少する中で中規模病院が競合して共倒れになるより、医師の働き方改革も踏まえ、大きな病院に統合した方がいいのではないか」とも言う。「地域に足りない医療(診療科)をどう補うかとの視点で、民間病院も巻き込んだ再編議論をすべきだ」

 済生会呉病院(150床)、呉市医師会病院(207床)の2病院が再編・統合の対象とされた広島県呉市。戦前からの病院がひしめき、「再編も仕方ない」との見方もある。しかし、高齢化で需要が増す回復期や在宅ケア支援も担う2病院がリストに載った一方、急性期医療で競合する大規模な他の3病院が一つも入らなかったことに疑問の声も上がる。

 「地域ニーズに応えようと回復期の病床を増やしてきた努力は評価されないのか」。済生会呉病院の松浦秀夫院長は戸惑う。

 県医師会の幹部は口調を強める。「母体が異なる病院同士を統合すると職を失う人も出るはず。再編のノウハウや財政的支援もなしに、地域に議論を丸投げされてはかなわない」