空き家傷む前に管理 県内建築会社など新事業 メリット浸透が鍵

空き家の通気を行う管理スタッフと坂東社長(右)=朝日町内

 人口減少や核家族化で空き家が増える中、県内の建築やビルメンテナンス会社などが新事業として空き家管理ビジネスに乗り出している。巡回サービスや、傷みを避ける通気などを行う。ただ、空き家の増加がそのまま需要増につながっていないとみられ、所有者に空き家の状態を維持するメリットが浸透するかどうかが鍵になりそうだ。 (経済部・浜松聖樹)

 総務省の2018年住宅・土地統計調査(確定値)によると、県内の空き家(居住世帯のない住宅)は6万1600戸で過去最多。空き家は放置すると倒壊や火災などの恐れがある一方、活用すれば地域活性化などにつながる。

 建築会社の家印(やじるし)(朝日町平柳)は先月から、空き家管理の事業を本格的に始めた。同町と入善町を対象とする。月1回巡回して換気や通水、建物のチェックなどを行う基本パックは、月額1万円(初年度は当面7千円)。高齢者や主婦、農家らを管理スタッフとし管理業務を行う。庭の除草や害虫防除などは別料金とする。

 ホクタテ(富山市中野新町)はビルメンテナンスを行ってきた実績を生かし、17年から空き家管理サービスを県内全域で始めた。件数に大きな増減はなく、価格が安い外部巡回の契約が多いという。担当者は「いずれ空き家に戻って暮らすなど、最終的な目的をしっかりと持っている人が申し込んでいる」と話す。

 空き家管理サービスを行うある不動産業者は「売買前に何軒か管理した程度で、実績はあまりない」、別の会社も「問い合わせは予想より少ない」としている。

 古民家再生にも取り組む家印の坂東秀昭社長は「富山県は全国の中でも湿度が高く、木造家屋が傷むのが早い。一方、解体費用は値上がりしている。空き家が活用できなくなる前に管理サービスを利用してほしい」と話している。

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