世界初、超薄型の曲がる電池

山形大開発、安全性も高く

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次世代型リチウムイオン電池を手に安全性などの特徴を説明する森下正典山形大准教授=山形市・同大小白川キャンパス

 スマートフォンなどに用いられるリチウムイオン電池について、山形大は3日、厚さ1ミリ以下で曲げられる次世代型を開発したと発表した。部材の一つの「電解質」を液体からゲル化するなどし、発火の危険性など従来型の課題を解決した。超薄型で柔軟性、安全性を兼ね備えた世界初の技術という。身に着けるウエアラブル端末向けなどを想定し、2年以内の製品化を目指す。

 開発に成功したのは同大の森下正典産学連携准教授(有機エレクトロニクスイノベーションセンター担当)のグループ。3日の学長定例記者会見で研究成果を説明した。

 森下准教授によると、リチウムイオンはプラス極とマイナス極の間を動くことで電気を発生する一方、動き過ぎると発熱してショートする。現在の一般的な電池は電極と、イオンが動く媒体となる電解質(液体)に加え、プラス極とマイナス極の間に微小な穴の開いたセパレーター(樹脂製)を置き、イオンの過剰な動きを抑制している。

 しかし、液体の電解質は液漏れの可能性があるほか、セパレーターとともに燃焼しやすく、スマートフォンの発火事故などが報告されている。今回の次世代型は電解質をゲル化し、粘着性を持たせることでイオンの動きを調整するセパレーターの役割も担わせたのが特徴。蓄電能力を維持しつつ、曲げに強く、熱で収縮しても燃焼せず安全性も高いという。

 電解質のゲル化は1990年代から多くの研究者が取り組んできたが、長く充電した場合、分解してしまうという課題があった。森下准教授は4年以上の歳月をかけ、ゲル素材の見直しを繰り返した。高い電圧にも耐えられる有機化合物の組み合わせなどを突き止め、従来型と同程度の蓄電能力を持たせることに成功した。

 森下准教授は会見で「薄く軽くできるためウエアラブル機器への搭載を狙う。より安全性の高い電池の製品化に貢献したい」と強調。通信機能の付いた腕時計型端末スマートウオッチや健康管理などの分野への活用を念頭に、今後の課題として量産化技術の開発やコスト低減を挙げた。