長崎・青山町の私道封鎖 住民側が仮処分申請 通行妨害禁止など求める

 長崎県長崎市青山町の住宅団地内にある私道の一部が、所有する福岡県の不動産管理業者に封鎖された問題を受け、地元住民側が通行妨害の禁止と妨害物の撤去を求める仮処分を長崎地裁に申し立てたことが3日、関係者への取材で分かった。申し立ては同日付。

 私道は青城自治会内にあり、総延長700メートル弱、延べ面積約3700平方メートル。隣の青山町自治会や若草町の一部の住民も生活道として使用しており、封鎖で100世帯以上に影響が出る見込み。業者は一般車両の通行禁止を住民側に通告し、2日に道の一部を封鎖した。

 一方、長崎市は3日、これまでの市の対応を説明した。それによると、業者側は3月、前所有者の会社整理に伴い引き受けた私道と隣の山林を、併せて長崎市に寄付すると申し出た。寄付を受けるためには、市道の基準に合うように道や側溝、ガードレールを改修することのほか、道と山林を分割して登記し直すことなどが必要で、長崎市の説明を受けた業者側は難色を示したという。寄付のための再整備費用は9割を市が補助する制度があるが、長崎市は業者側に伝えていなかった。

 寄付の話は立ち消えになり、地元住民などによると、業者側はその後、住民側に私道と山林の買い取りを求めたが、金額面で折り合わなかった。続いて通行料の支払いを求め、住民側が応じなかったため、私道の一部封鎖に踏み切った。

 長崎市は封鎖に備え、抜け道となる市道などの一部を事前に拡幅したが、軽自動車がようやく通れる道幅しかない。長崎市土木総務課は「民間同士の問題で直接介入できない」とした上で、地元の要望を聞きながら、代替道路の整備など「できることをしたい」との考えを示した。

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