諏訪にきらめけ! くんち新世代・4 江戸町・オランダ船 小山純弥さん 幼い頃からの夢かなう

鮮やかなブルーのオランダ船を回す小山さん(左から2人目)=長崎市、八坂神社

 江戸町は出島オランダ商館の門前町だった。オランダ語に由来する「コンミ・シャーレ」という力強い掛け声を発し、18人の根曳(ねびき)衆が重さ約3トンの船を豪快に回す。初めて根曳を務める小山純弥さん(22)も力の限り船を引く。
 長崎市銭座町生まれで、幼い頃からのくんちファン。演(だ)し物のビデオを何度も見たり、段ボールを船に見立てて回したりして遊んでいた。「熱意」が母を通して江戸町の人に伝わり、小学3年の時、子どもたちによる「オランダ船(せん)小船」の長采(ながざい)(総指揮者)としてくんち出演を果たした。
 その時、後日(あとび)に「オランダ船」の演技を見ていると涙がとめどなくあふれた。「大人になったら根曳として出る」と心に誓った。
 愛知県の大学に進学したが、3年次に長崎国際大に編入して帰郷。「くんちに出たい」という思いが湧き上がってきた。
 くんち出演のため、昨年夏に江戸町の青年部に入会した。「町の一員」として地域清掃やイベントの手伝いなどに汗を流した。
 6月の小屋入り後から本格的な稽古を開始。長雨の影響で、久々に船を使った稽古となった9月上旬、船回しがうまくできずに壁にぶつかった。仲間と話し合い、それぞれの役割を確認すると、船はスムーズに回るようになった。
 「美しく、大海原を勇ましく進むオランダ船を見せたい」。子どもの頃から抱き続けてきた夢が、ついにかなう。

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