仮設の引っ越し、支援を 高齢者、障害者は荷造り困難 熊本県益城町社協がボランティア派遣

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仮設住宅入居者の引っ越しを手伝うボランティアら=益城町(同町社協提供)

 熊本地震から3年半がたち、仮設住宅からの退去が進む中、引っ越しの荷造りなどが困難な高齢者や障害のある被災者に対する支援が課題になっている。熊本県益城町では町社会福祉協議会が窓口となり、要請に応じて職員やボランティアを派遣して作業を手伝っている。

 益城町社協には今年8月までに、仮設入居者から引っ越し支援に関する相談が46件あった。このうち、引っ越し前の片付けや荷造り、荷ほどきなど18件に対応。昨年10月に開設した復興ボランティアセンターに登録するボランティア数人と町社協の職員が作業に当たった。

 高齢者や心身の障害がある人、シングルマザーなどからの相談が多いという。町社協の藤岡卓雄事務局長は「この時期まで仮設に残っている世帯は、災害公営住宅(復興住宅)の入居予定者や、年齢、健康、家計などに事情を抱える人が多く、引っ越しの負担は大きい」と実情を語る。

 2月に「みなし仮設」から復興住宅に移った益城町の自営業、竹部隆敏さん(70)も支援を受けた。「子どもは県外で、70代の夫婦だけ。引っ越しの準備に途方に暮れていた。社協が窓口だったので信頼して頼めた」と感謝する。

 仮設では現在、2度目の1年延長が認められなかった世帯の退去が進んでいる。復興住宅も本年度内に県内全てが完成し、各市町村による仮設団地の集約も進む見通しで、引っ越し支援の需要は増えるとみられる。

 一方、被災者の大切な家財や貴重品を扱うだけにトラブルも心配だ。このため町社協は、万が一、破損などがあっても補償できないことを利用者に事前に了承してもらうなど、トラブル回避に努めている。ただ、益城町以外の民間の支援団体は「個人宅で家財を扱う支援は民間団体だけでは難しい」と、引っ越し支援に手を出せずにいるという。NPO法人くまもと災害ボランティア団体ネットワーク(KVOAD[ケイボアド])の樋口務代表理事は「益城町社協のように、社協や自治体が、被災者と民間団体やボランティアの間を取り持つような連携が広がってほしい」と指摘する。(社会部・堀江利雅)

(2019年10月4日付 熊本日日新聞朝刊掲載)