ロシア捕虜ひ孫が金沢で墓参

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 日露戦争(1904~05年)時に金沢で収容生活を送ったロシア捕虜将校のひ孫2人が4日、金沢市野田山にあるロシア人墓地を訪れた。金沢で亡くなった捕虜10人の墓標に花を手向けた2人は、曽祖父と同じく祖国のために戦った兵士たちに思いをはせ、墓地の整備に感謝の気持ちを表しながら、日ロ友好の誓いを新たにした。在新潟駐日ロシア総領事館のミハイル・セルゲェーフ総領事が同行した。

 激しい風雨の中、バルチック艦隊の将校を曽祖父に持つモスクワ在住のアンナ・バルミンツェワさん(50)とサンクトペテルブルク在住のエレナ・ポリャンスカヤさん(62)は午前9時半ごろ、兵士10人が眠る墓地に参った。

 「どれほど寂しく、つらかっただろうかと思う。この場所の整備に払われている努力に感謝したい」 夫ニコライ・ミウゲさん(55)とともに金沢を訪れているバルミンツェワさんは献花後にそう語った。初めて訪れる金沢の印象を聞かれると、「こんな雨に迎えられたけれど、もてなしは本当に温かい」と笑顔を見せた。

 ポリャンスカヤさんは次男パーヴェル・ポリャンスキーさん(31)を伴い、初の訪日となった。「ここは私たちにとって聖なる場所。金沢の人にロシアの歴史に興味を持ってもらい、感謝している。今は言葉では言い表せない気持ちです」と感慨をかみしめた。

 墓参に先立ち、石川県ロシア協会の中村勲会長が1965(昭和40)年の墓地改修の経緯を説明。当時のソ連を訪れ、日本人墓地のきれいさに感動したのがきっかけだったとし、「長年の平和と友情の活動の成果としてきょう、皆さんをここへお迎えできた」と歓迎の意を表した。

 セルゲェーフ総領事は「きょうこの場に集まることができ、日露戦争という20世紀初めの悲劇について今一度考える機会が生まれた。痛みや悲しみを抱えながらも、未来へどんな歴史を伝えていくか考えたい」とあいさつした。日ロ関係について「相互理解があってこそ両国の課題解決が図れる」と民間交流の大切さを強調した。

 劇団アンゲルスが捕虜と芸妓の愛を描いた五木寛之さんの「朱鷺(とき)の墓」の劇を披露し、参列者は日本語とロシア語でロシア民謡「カチューシャ」を歌った。

 ひ孫2人は4日午後、金沢市の県国際交流センターで開かれる日ロ友好シンポジウム(北國新聞社特別協力)にパネリストとして出席する。