その51  学習英語力と 生活英語力

バイリンガル育児では、子どもの生活英語力と学習英語力の発達を明確に分けて捉え、それぞれに必要なサポートを与えることが大切です。

生活英語力は子どもの周囲に豊かな英語環境があれば、自然に身に付けることができます。ここで必要なのは「生きた言葉」が「豊か」にある環境です。

学習英語力は学校の勉強で必要とされる力で、語彙力、読解力、思考力、作文力などです。これらの力を発達させるには、学校での指導に加えて、子ども自身が努力を継続することが必要です。

バイリンガルの学習英語力の発達は、モノリンガルの子よりも遅れるのが一般的です。学校の先生との連携を密にして、子どもの英語力の遅れを見逃さないようモニターしてください。

同時に二言語を発達 させるのは難しい

バイリンガル育児をしている人であれば、子どもの学習言語力も「バイリンガル」にしたいと望むことでしょう。日本語も英語も学年レベルを獲得できれば、まさに理想的なバイリンガルです。しかし残念ながら、二言語の学習言語力を同時に、同レベルで発達させるのは極めて困難です。

学習内容が高度になる小学校高学年からは、どちらか一つの言語に集中して勉強を進めることが現実的です。二つの言語を同レベルで学ぶというのは、子どもへの時間的・精神的負担が大きく、その結果、どちらの学習言語力も十分に育たなくなる危険性があります。

また、小学校高学年からはスポーツや音楽など、子どもの人間形成に影響を与える活動に参加させることも大切です。子ども時代には勉強の他にも経験すべきことがたくさんあります。子どもの人間形成を考えるのならば、現実的で偏りのない学びの環境を与えていく柔軟性を、親が持つことが求められます。

現地校の勉強を 優先する

小学校高学年から中学生の時期は、子どもが学校教育を受けている言語に集中させることが大切です。アメリカの学校に通っているのであれば、迷うことなく英語優先です。この頃から勉強でつまずきや困難を感じる子どもが増えますから、細心の注意を払って習熟状況をモニターしてください。

現地校の成績が良くなると、子どもにとって大きな自信となり、モチベーションがアップします。反対に成績が悪くなると「やっぱりダメだ」と自信は減退し、やる気も下がってしまいます。高等教育への準備として「学習英語力」の発達に注目すべき時期が小学校高学年なのです。

ネイティブとの 差を認識する

学校の成績が問題ないから英語は心配ない、という父兄がいますが、バイリンガルの場合、成績に表れていなくても総合的英語力はネイティブよりも、必ず劣ります。

私立中学受験をする子がSSATという共通テストを受けると、この「差」が顕著に表れます。このSSATのスコアが学年平均よりもはるかに低い子どもがほとんどなのです。

学習英語力の遅れは学校の先生も気付かないケースが多いので注意してください。

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