長崎・青山町私道封鎖 業者の行為「悪質」 住民側、無償で通る権利主張

仮処分の申し立てについて説明する岡田弁護士(中央)ら=長崎市役所

 長崎市青山町の住宅団地内にある私道の一部を封鎖した福岡県の不動産管理業者に対し、通行妨害の禁止とバリケードの撤去を求める仮処分を長崎地裁に申し立てた住民側弁護団は4日、長崎市役所で記者会見した。住民には無償で通行できる権利があると主張し、通行料の支払いなどを求めてきた業者の行為について「悪質だ」と批判した。

 青城自治会内を通る私道は延長約700メートル、延べ面積約3700平方メートル。道沿いに住む青山町と若草町の住民計7人が原告となり、3日に仮処分を申し立てた。

 団地は1960年代後半を中心に開発された。弁護団は、当時の開発業者が私道も所有し車で通れると宣伝、購入者とも合意していたとして、他人の土地でも無償で通れる通行地役権が設定されていると主張した。

 マイカーやタクシー、介護車両などが通れず、住民の生命・身体の危険、社会生活への著しい支障が出るとして、所有者の了解を必要としない人格権に基づく通行権もあると強調した。

 仮処分の可否決定まで通常1カ月程度かかる。弁護団は認められれば本訴を起こす。岡田雄一郎弁護士は「業者は住民の足元を見ている」と批判。山本真邦弁護士も「団地ができて50年間、こういう問題はなかった。歴史的な重みも裁判所に伝えたい」と語った。

 不動産管理業者は昨年11月に私道を取得した。今年春以降、住民側に3千万円程度での買い取りや、世帯別に月額数千~1万円程度の通行料を求めたが、住民側は応じなかった。業者は一般車両の通行禁止を通告し、2日に道の一部をバリケードで封鎖した。仮処分の申し立てに「コメントできない。弁護士と協議する」とした。

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