元DeNA・荒波翔さん、CS迎える古巣にエール 頂点へ「やってくれると思う」 

横浜DeNAベイスターズで活躍した荒波さんも、クライマックスシリーズでの躍進に期待を寄せる=3日、横浜市中区の横浜公園

 5日に開幕するクライマックスシリーズ(CS)を球団史上初めて本拠地の横浜スタジアムで戦う横浜DeNAベイスターズ。球団OBで今季限りで現役を引退した荒波翔さん(33)は「圧倒的な声援があるホームの強みを生かし、日本一まで突き進んでほしい」と笑顔でエールを送った。

 2018年シーズン終了後、ベイスターズから戦力外通告を受けた。他球団からオファーは届かず、海外初挑戦となるメキシコでプレーすることを選んだ。約3カ月間のメキシカンリーグでの挑戦を終え、現在は小中学生向けのスクールのコーチなどを務める。

 「自分の野球人生はいつも挑戦の連続でした」

 横浜市瀬谷区出身のハマっ子は、春夏5度全国制覇の名門横浜高で1年から1番中堅として2度の甲子園に出場。東海大、トヨタ自動車を経て、11年から地元の球団に加わった。

 翌年12年には親会社が現在のDeNAに変わった。自身はそのシーズンから2年連続でゴールデングラブ賞を獲得するなど、チームの顔に成長。試合前のサインなどファンサービスにも尽くしてきたし、登場曲に合わせてタオルを回す応援スタイルはハマスタの名物にもなった。「試合に支障が出そうなこともあったけど、球団と折り合いを付けながらやってきた。満員の球場でプレーできることは幸せなこと。訪れたファンにはいつも楽しんでもらいたかった」。選手と球団の地道なファンサービスが大きなうねりをつくった。

 入団した11年は1試合平均1万5308人だった入場者数は、今季は同3万1716人と倍にまで増えた。メキシコから帰国後、新設されたウイングシートにも驚いた。「この雰囲気は心強いし、短期決戦でも気持ちを楽にできるはず」。今季43勝27敗1分けの圧倒的な地の利に太鼓判を押す。

 21年ぶりの日本一へのキーマンに今永昇太投手(26)と梶谷隆幸外野手(31)を挙げた。「カジ(梶谷)の苦しんだ思いも分かるし、一回り大きくなって戻ってきたことを証明してもらいたい」

 中学1年生だった1998年、横浜ベイスターズは38年ぶりに日本一まで上り詰めた。横浜スタジアムは燦然(さんぜん)と輝き、街が沸き立っていた。「個性が強いメンバーがいて強かったことを覚えている。今年も良い選手がそろっているし、僕はやってくれると思っている」。21年ぶりの頂点へ、ボールパークからその一歩が始まる。

© 株式会社神奈川新聞社