三段跳び・山本が国体連覇 スランプ払拭で大跳躍 古里・長崎のユニホームで取り戻した自信

【陸上成年男子三段跳び決勝】16メートル85の大会新でV2を飾った山本(JAL)=ひたちなか市、笠松運動公園陸上競技場

 第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」第7日は4日、茨城県内各地で13競技が行われ、県勢は陸上成年男子三段跳びの山本凌雅(JAL)が16メートル85の大会新記録でV2を達成した。

 ハイレベルな戦いに「自分の中で込み上げるものがあった」。陸上成年男子三段跳び決勝。この種目の第一線を走り続ける山本(JAL)が、最終6回目の跳躍で逆転優勝を飾った。記録は今季のスランプを払拭(ふっしょく)するような16メートル85のセカンドベスト。「この勝負に勝てたのは大きい」。長崎県陸上界のエースは気持ちよさそうに振り返った。
 「原因の分からない」不調に苦しんだ今季。6月の日本選手権で5位に終わった後も記録が伸びず、現在開催中の世界選手権出場を逃した。その後、落ちていた助走スピードなどを修正して、9月の全日本実業団選手権でV2。復調の兆しは見えた。
 今回は左足首に違和感があり、万全の状態ではなかったが、2回目の16メートル40で山下祐(茨城陸協)と1センチ差の2位につけた。ライバルの状況を見ながら、3、4回目をパス。その4回目で山下航(福島・ANA)が16メートル55で首位に立ち、3位に後退した。
 一瞬「今のままでもいいかな…」とも思った。だが、来年に迫った東京五輪へ向けて、このままでは終われなかった。試技を減らした分、体の感覚を戻そうと、5回目の試技で助走だけを確認。「悪くない」。自信を持って跳んだ6回目で、ライバルたちを突き放す大ジャンプ。こん身のガッツポーズが出た。
 これで、諫早農高3年時の少年種別に続き、成年も大会記録に名を刻んだ。ここぞという時に結果を出せる自らを「自分でも強いと思った」。これから本格化する東京五輪の代表争い。この勝負も勝ち抜く自信を、古里のユニホームで取り戻した。

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