観光地経営の視点を 地域DMO法人登録目指す

約100人が参加した「茅ケ崎DMO事業」キックオフフォーラム=茅ケ崎市

 「観光地経営」の視点に立った地域観光の事業展開へ向け、茅ケ崎市観光協会が、魅力的なコンテンツづくりなどのかじ取りを担う観光庁の「地域DMO法人」の登録を目指している。具体的な戦略の策定と着実な実行が求められハードルは高いが、8月には前提となる候補法人に登録され大きく前進した。10月には地元のキーパーソンらが参画するワークショップを開始し、活動を本格化させる。

 同協会は来年度の地域DMO法人登録を目標に据え、9月30日に事業概要やDMOの先進事例をテーマにしたキックオフフォーラムを開催。約100人が参加し、佐藤光市長をはじめ、観光地域づくりの担い手らが「茅ケ崎版DMO」の目指すべき方向を話し合った。

 10月からは活動を加速化。映画、音楽、マリン、サイクリング、歴史、風土といった地域資源をテーマにしたワークショップを月1回開催する。各分野のキーパーソンをはじめ企業、個人に参加を呼び掛け、茅ケ崎の魅力を発信し回遊性を高めるためのコンテンツづくりに結び付ける。

 「個々のテーマ単体ではなく、例えばグランピング(高級感のあるキャンプ)とサイクリングの掛け合わせなどコラボレーション商品の開発を目指す」(同協会)

 茅ケ崎の地域観光にとって大きな節目となるのが、道の駅(同市柳島)の開設だ。国道134号沿線で、さがみ縦貫道路(新湘南バイパス)の茅ケ崎海岸インターチェンジ(IC)にも近い約1万7千平方メートルの敷地に駐車場、飲食の提供や名産品の販売などをする施設1棟を建設する計画。オープンは2022年3月を予定している。

 同協会は車による市内観光の起点となる「茅ケ崎のゲートウェイ」と位置付け、周辺のキャンプ場やスポーツ公園も含め、将来的な茅ケ崎の観光拠点と期待している。

 今後、▽ワークショップの開催など観光推進基盤の確立▽ビッグデータに基づく観光客動態調査分析▽地域特性を生かした観光プランの開発▽モニターツアーの実施-など顧客層の絞り込みへ向けたマーケティング事業などを総合的に進め、本年度内に観光庁に報告する。

 同協会は「地域の『稼ぐ力』を引き出すとともに地域への誇り、愛着を醸成する地域観光づくりを目指していく」としている。

 ◆地域DMO 原則として基礎自治体の区域を観光地域とし、マーケティングやマネジメントを行うことによって観光地域づくりを担う組織。全国で57件、県内では小田原市と箱根町の観光協会がそれぞれ登録されている。

© 株式会社神奈川新聞社