WEC富士:中嶋一貴駆る8号車がポール奪取。7号車トヨタもタイム抹消から順位を取り戻し、最前列確保

 富士スピードウェイで開催されているWEC世界耐久選手権第2戦富士6時間レースは10月5日、決勝のグリッド位置を決める公式予選が行われ、TOYOTA GAZOO Racingのセバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドン・ハートレー組8号車トヨタTS050ハイブリッドがポールポジションを獲得した。
 
 前日に引き続き走行2日目も晴天に恵まれた2019年のWEC富士。昼過ぎに開始となった予選は、朝のプラクティスと比べると雲が増えたものの、依然として強い日差しが降り注ぐなかで行われた。

 GTEクラスに続いてスタートしたLMPクラス予選ではまず、走行初日から好調が続く8号車トヨタに一貴が乗り込み、1分24秒822をマークしてタイムテーブルの最上段に陣取る。
 
 8号車トヨタの後ろではレベリオン・レーシング、1号車レベリオンR13・ギブソンを駆るグスタボ・メネゼスが1分26秒367で続くが、やや時間を置いてコースインした7号車トヨタTS050ハイブリッドのホセ-マリア・ロペスがこれを交わして2番手に。また、チームLNTの6号車ジネッタG60-LT-P1・AERも1分25秒889を記録してレベリオンを上回っていく。

 ふたり目のドライバーによって争われたセッション後半戦でも8号車トヨタの順位は揺るがず。一貴から替わったハートレーが1分25秒205というタイムを記録、ふたりのドライバーの平均タイムを1分25秒013とし今季初ポールを決めた。
 
 一方、ロペスから小林可夢偉へドライバー交替を行った7号車トヨタは可夢偉のアタック中に、6号車ジネッタがGRスープラコーナーの先でスピンしたことに加えてトラックリミット違反をとられタイム抹消となってしまう。
 
 その後、コース上に止まってしまったジネッタの回収のためセッションは赤旗中断に。この時点で平均タイムを記録できていなかった7号車トヨタは赤旗解除後、ふたたび可夢偉がタイムアタックを行い1分25秒968をマーク。アベレージタイムを1分25秒803に留めフロントロウの2番手を確保している。
 
 3番手には、ファーストアタッカーのメネゼスにやり直しのアタックをさせた1号車レベリオンR13が入った。タイムは1分26秒163でトップとは1.150秒差だ。チームLNTは5号車ジネッタG60-LT-P1・AERが4番手。僚友6号車ジネッタはふたりめのドライバーがタイム計測を完了させていないことからクラス最下位が決まった。

 LMP2クラスはジャッキー・チェン・DCレーシングの37号車オレカ07・ギブソン(ホー・ピン・タン/ガブリエル・オブリ/ウィル・スティーブンス組)が1分29秒302という平均タイムでポールを奪った。2番手は赤旗解除後にフィリペ・アルバカーキのアタックで順位を上げたユナイテッド・オートスポーツの22号車オレカ07・ギブソンだ。

■山下健太、慣れ親しんだ富士でのアタックはまさかの不発

ハイクラス・レーシングからLMP2クラスに参戦している山下健太
星野敏も乗り込むデンプシー・プロトン・レーシングの88号車ポルシェ911 RSR

 
 クラス3番手にはイオタの38号車オレカが続き、山下健太を起用しているハイクラス・レーシングの33号車オレカが4番手となっている。セッション序盤に1分28秒332という驚速タイムをマークしたニック・デ・フリース擁するレーシング・チーム・ネーデルランドは、後半を担当したオーナードライバーのタイムが伸びずクラス7番手に終わった。

 3メーカー計6台で争われるLM-GTE Proクラスは、ポルシェGTチームの92号車ポルシェ911 RSRを駆るマイケル・クリステンセンがコカ・コーラコーナーの出口でクラッシュを喫した傍ら、僚友の91号車ポルシェ911 RSR(ジャンマリア・ブルーニ/リヒャルト・リエツ組)が残り1分となった段階で3番手から順位を上げてポールポジションを獲得。ポールタイムは1分37秒356だった。
 
 91号車ポルシェに交わされる直前までクラストップにつけていたAFコルセの51号車フェラーリ488 GTE Evoは、首位と0.041秒差の2番手に。3番手にはアストンマーティン・レーシングの95号車アストンマーティン・バンテージAMRが入り、3メーカーがトップ3を分け合う形となっている。
 
 日本人ドライバー3名が参戦しているLM-GTE Amクラスではチーム・プロジェクト1の57号車ポルシェ911 RSR(ベン・キーティング/フェリペ・フラガ/イェルーン・ブリークモレン組)が1分38秒733という平均タイムでクラスポールを奪取。今戦を前に公式マスコットを発表したTFスポーツの90号車アストンマーティン・バンテージAMRがこれに0.088秒差で続き2番手。3番手にはアストンマーティン・レーシングの98号車アストンマーティン・バンテージが続いた。
 
 この他、日本勢は昨年のポールシッターである星野敏も乗り込んだデンプシー・プロトン・レーシングの88号車ポルシェ911 RSRがクラス6番手。石川資章が率い、今季からケイ・コッツォリーノも加わっているMRレーシングの70号車フェラーリ488 GTE Evoはクラス10番手となった。

 予選を終えた2019年のWECは明日6日(日)11時に6時間の決勝レースがスタートする。現時点の気象予報では、一部の予報で夕方から降雨となっていることから、前戦シルバーストンや2018年のWEC富士と同様にタイヤ選択が勝負を決める可能性もありそうだ。

GTE Proクラスで逆転ポールをしたポルシェGTチームの91号車ポルシェ911 RSR
TOYOTA GAZOO Racingの7号車トヨタTS050ハイブリッド
GTE Amクラスのポールポジションを獲得したチーム・プロジェクト1の57号車ポルシェ911 RSR
ジャッキー・チェン・DCレーシングの37号車オレカ07・ギブソン

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