子どもがSDGsを楽しく学べるミュージアム、イベント紹介

国連で採択された持続可能な開発目標SDGs。
最近では企業や自治体のイベント、ネットニュースや子ども向け番組などでも触れられる機会が多くなりました。
また環境や地球の未来などをテーマにした博物館の展示でも、SDGsと結び付けて分かりやすく解説しているものも増えてきています。
今回はSDGs達成に向けた取り組みを行う学研グループのイベントや、博物館のプロジェクトについてご紹介します。

■学研がSDGsを地球目線で考える展示イベントを開催「SDGsミュージアム2019 in Gakken」

株式会社学研ホールディングスと株式会社学研プラスは、「NPO法人Earth Literacy Program」と共同で、2019年9月2日(月)~13日(金)までSDGsを地球目線で学べる展示イベント「SDGsミュージアム2019 in Gakken」を開催しました。
これは文化人類学者で京都造形芸術大学教授・NPO法人Earth Literacy Program代表の竹村眞一氏が企画した展示イベントで、SDGs達成のための課題と解決方法を地球目線で考え、理解を深めていこうと目標を掲げたイベントです。

イベントは東京・五反田の学研東京本社ビル内の特設会場にて入場無料で開催され、小型インタラクティブ地球儀「Sphere(スフィア)」を使い、リアルタイムの雲の動きや気温の変化、人口増加、食糧自給率など世界の環境・社会・経済にまつわる膨大なデータから分かる地球の過去・現在・未来のコンディションを知ることができるコーナーが注目を集めました。

・「NPO法人Earth Literacy Program」とは

地球時代にふさわしい新たなメディア・プラットフォームづくりを目指す実験プロジェクト。世界初のマルチメディア地球儀「触れる地球」の開発や、ユビキタス地域情報システム「どこでも博物館」、スローライフのネットワークイベント「100万人のキャンドルナイト」などを企画・推進しています。

学研グループでは、その事業を通じた持続可能な社会の実現にあたり、SDGs17の目標のうち「3.すべての人に健康と福祉を」「4.質の高い教育をみんなに」「11.住み続けられるまちづくりを」の3つを重点目標と設定。「誰一人取り残さない」というSDGsの基本理念と重なる、「すべての人が心ゆたかに生きる世界の実現を目指す」という学研グループの理念を守り広げる活動を行っています。

■SDGsとミュージアム~科学館や博物館が取り組むSDGs達成に向けた活動

・SDGsの達成に向け動き出した全国科学館連携協議会

全国科学館連携協議会では、持続可能な未来社会に向けて科学館の果たす役割を見つめなおし、地域における科学コミュニケーション活動や教育活動の充実を目指しています。
2018年度から全国の加盟科学館がそれぞれの地域で活動を推し進め、科学技術・イノベーションによってSDGsの達成に貢献しています。

また、全国科学館連携協議会では「SDGs(持続可能な開発目標)クイズボード」を巡回展示を行なっています。
このクイズボードではSDGsの内容について学ぶために、それぞれの目標に関連した17問のクイズにチャレンジできます。クイズはすべて3択形式で、パネルをめくると答えや解説を見ることができるようになっており、小学生から大人まで楽しみながら学習することができます。

・積極的にSDGs関連のプロジェクトを行っている日本科学未来館

東京・江東区にある日本科学未来館は、世界に起きていることを科学の視点から理解し、これからどんな未来をつくっていくかを共に考え、語り合い、コミュニケーションを図る場として運営しています。
常設展や企画展などの展示をはじめ、ワークショップやトークセッション、また最新テクノロジー、地球環境、宇宙の探求、生命の不思議といった科学技術も体験できます。
また、日本科学未来館ではSDGs達成に向けた様々なプロジェクトを実施しており、関連する展示物の貸し出しも行っています。

プロジェクト1.「つながりプロジェクト」

Geo-Cosmos、Geo-Scope、Geo-Palette、Geo-Prismの4つのツールを起点に国内外の研究者やアーティストと連携、地球に関する科学情報を収集し、それを感性に届く表現で視覚化して伝える活動です。
世界の人々と今の地球、今の自分についての「知」を深め、豊かな地球を未来に繋いでいくために何をすべきかを考えるプロジェクトで、SDGs達成に必要な市民のグローバル・サスティナビリティへの関与を促すものとなっています。

4つのツールとは

Geo-Cosmos:1,000万画素を超える高解像度で宇宙空間に輝く地球の姿をリアルに映し出す日本化学未来館のシンボル
Geo-Scope:国内外の科学者や研究機関から集めた様々な地球観測データへ自由にアクセスできるインタラクティブボード
Geo-Palette:世界の国々や地域に関する様々な情報をもとに、ひとりひとりがオリジナルの世界地図を描くことができるオンラインサービス
Geo-Prism:AR(拡張現実感)技術を用いてジオ・コスモスにデータやシミュレーションを重ねて表示できるシステムで、多くの研究者やクリエイターが独自にコンテンツ開発に参加できる

プロジェクト2.「Picture Happiness on Earthプロジェクト」

アジア・太平洋地域の中高生と日本の女子中高生がコラボレーションし、Geo-Cosmosの映像作品を作り上げるプロジェクトです。
各国の10代という若い世代が見据える「幸せのかたち」をユニークな着眼点と豊かな表現力、それぞれの思いを込めて制作。作品はSDGs達成への示唆に富んだものとなっています。
1年目のワークショップではオーストラリア、中国、マレーシア、フィリピン、シンガポール、日本の科学館が参加、2年目はオーストラリア、韓国、ニュージーランド、台湾、タイ、日本の科学館が参加しました。
それぞれの国の抱える課題に対する思いや、地球環境のことを考えた個性的な作品が揃っており、日本科学未来館のHPでも見ることができます。

さらに日本科学未来館では過去に開催された特別展示「ビューティフル・ライス~1,000年おいしく食べられますように」を、ほかの科学館などSDGsに取り組む様々な施設へ貸し出しを行っています。これは数千年に渡って続いてきたアジア各地の伝統的な米作りを、科学の視点で読み解きながら、持続可能な農業を考える展示内容となっています。この展示を通して持続可能な食糧生産の在り方を探り、SDGs達成への貢献も目指しています。

子どもも大人も楽しめる要素がいっぱいの博物館は、驚いたり感心したり、新しい発見や遊び心が詰まったワクワクする施設です。
その施設の中でSDGsを関連付けていくことができれば、誰もがもっとその重要性を身近に感じるようになる可能性が大いにあります。
「SDGsを学べるミュージアム」への取り組みが広がることは、子どもから大人までひとりひとりが環境問題や人権、エネルギーの使い方などといった課題と向き合い、どうすべきかを考える機会に繋がることでしょう。

© ソーシャルキャピタル株式会社