楽天の勝因は則本昂の“踏ん張り” 山崎武司氏が解説「心が折れなかったのが良かった」

ソフトバンク戦に先発し6回3失点と粘投した楽天・則本昂大【写真:福谷佑介】

則本昂は2回までに3失点も立ち直る「3回以降は素晴らしいピッチングだった」

■楽天 5-3 ソフトバンク(CS・5日・ヤフオクドーム)

 楽天は5日、「パーソル クライマックスシリーズ パ」1stステージ初戦のソフトバンク戦に5-3で勝利した。リーグ3位からの“下剋上”へ、まずは1勝。打線が4本塁打でソフトバンクのエース千賀を攻略したが、野球解説者の山崎武司氏は勝因に先発・則本昂の“踏ん張り”を挙げた。

 楽天は初回に浅村が先制弾を放つも、その裏に則本昂が今宮に同点ソロを被弾。さらに、2回には内川に勝ち越し2ランを浴びた。ただ、エースはここで崩れず。打線が3回にオコエのソロ弾で1点を返すと、則本昂はその裏は2安打を浴びながら無失点。4回以降は3イニングを1安打5奪三振の快投でゲームを作り、逆転を呼び込んだ。

 山崎氏は楽天勝利のポイントとして「いつもであれば、則本昂があの3点で崩れるけど、今日は崩れなかった」ことを挙げ、「いい時の則本昂のピッチングができたんじゃないかなと思うね。ホームランもたくさん出たけど、あそこで則本昂が気持ちが切れず、心が折れなかったのが良かったよね」と称賛。さらに「今日は真っ直ぐが良かった。インコースでも空振りを取っていたし、自分の中で準備はできていたんじゃないかなと。スライダーも低めの空振りを取っていたから、3回以降は素晴らしいピッチングだった」と続けた。

 一方で、7回を投げ4被弾を含む7安打4四球7奪三振4失点という結果に終わった千賀については「ばらつきが今日はすごかった。それでも彼はエースだし、球界のトップクラスのピッチャーが悪くても……というところはあったけど。でも、今日は悪かった。ストライク取るのに四苦八苦していたから。悪いなりには頑張っていたけども、今年の13勝8敗という、8敗したという内容は出ていたよね。フォークもみんな見切っていたと思う。則本昂のほうが断然良かった」と指摘。「ホームランがバンバン出たわりに5点で収まったけど、予想に反した展開、試合だった」と振り返った。

「1つ勝ったことで間違いなく楽天が有利にはなっていると思うけど…」

 楽天は自慢の救援陣も7回以降を無失点に抑えて快勝。山崎氏は「宋家豪がめちゃくちゃ良かった。1イニングを命がけで投げたら、150キロ台中盤が出てたから素晴らしかったよね。ハーマンをメンバーから外したけど、後ろにはブセニッツも含めて、森原、(松井)裕樹ときっちり投げられるピッチャーがいるから、楽天は自信を持っているんじゃないかな」と評価。また、スタメンに抜擢されてソロ弾を含む2安打を放ったオコエについても「ペナントレースで使ってないメンバーをCSで使うというのはリスクがあって、チームの士気がどうなの、というところがあると思うけど、それにもかかわらず結果を出した。オコエはシーズン中のバッティングよりも良くなっている。バッティングの改善をしてきてるから、成長を感じたね」と称えた。

 3位の楽天が突破に王手。第2戦は楽天が美馬、ソフトバンクはバンデンハークが予告先発として発表されている。楽天が先手を取ったが、山崎氏は「そう簡単にはいかない」と予想する。

「美馬はソフトバンクに相性がいいらしいけど『そう簡単には(いかない)』というところだと思う。今日、ソフトバンクが勝ったら終わりだと思ったけど、楽天が勝ったら、面白い試合が見られるんじゃないかな。シリーズが盛り上がってきた。1つ勝ったことで間違いなく楽天が有利にはなっていると思うけど、アウエーで戦っているから。それを考えれば、1歩というより、0.1歩リードかなと。2試合なんて時の運もある」

 まずは両先発投手の出来が鍵を握るのは間違いない。楽天がこのまま勢いに乗るのか、ソフトバンクが流れを取り戻すのか。目が離せない戦いが続く。(Full-Count編集部)

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