ゲーム19XX~20XX第12回:『ドラクエVII』の発売やPS2の登場が話題となった2000年のゲームに注目

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ゲーム19XX~20XX第12回:『ドラクエVII』の発売やPS2の登場が話題となった2000年のゲームに注目

『ドラゴンクエスト』の話題が目白押しです。まず、位置情報を使ったスマートフォン用ゲーム『ドラゴンクエストウォーク』が2019年9月12日よりサービス開始。わずか1週間で、ダウンロード数が500万を突破するなど早くも大人気となっています。

さらに、Nintendo Switch用ソフト『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S』が9月27日に発売。『ドラゴンクエストX いばらの巫女と滅びの神 オンライン』も10月24日発売予定となっており、『ドラクエ』ファンにはたまらないことでしょう。

そこで、今回の『ゲーム19XX~20XX』は、シリーズ屈指のヒットとなった『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』が発売された「2000年」に注目。プレイステーション2の発売、本格的な家庭用ゲーム向けオンラインゲームの登場など、エポックメイキングな出来事の多かった、この年のゲームを振り返っていきます。

2000年のゲーム業界最大のトピックといえばプレイステーション2(以下「PS2」)の発売に尽きます。縦置きと横置きの両方に対応した本体デザイン。USB端子やPCカードスロットなど、ネットワーク端末としての拡張を視野に入れたインターフェースの数々。さらに立体音響にも対応しているなど、従来のゲーム機の枠を超えた驚異的スペックを備えており、ゲーム誌はもちろん一般メディアの注目も大いに集めました。

特に大きかったのがDVD再生機能です。当時はまだDVDの普及前で専用プレイヤーがまだまだ高価だったこともあり、「手軽に買えるDVD再生機」としても人気になったのです。実際、PS2の発売にともない、映画『マトリックス』のDVDソフトが爆発的ヒットを記録するなどDVD市場の活性化に一役買いました。

プレイステーションソフトをプレイ可能という下位互換機能の存在も画期的だったと言えます。旧ハードのソフトを利用できるというのは、ユーザーにとってもゲーム開発者にとっても非常に魅力で、PS2の大きな強みとなりました。

かくして発売から3日間で約98万台を売り上げるなど、好調なスタートを切ったPS2でしたが、当初はソフトの売上が伸び悩んでいました。これは開発に必要なライブラリの提供などが遅れたたためで、『リッジレーサーV』、『鉄拳タッグトーナメント』(いずれもナムコ:現バンダイナムコエンターテインメント)、『真・三國無双』(コーエー:現コーエーテクモゲームス)などがヒットしたものの、この年はミリオンを記録したソフトは登場しませんでした。

しかし、翌年から大作・話題作が続々登場。着実にシェアを伸ばしていき、2011年には累計出荷台数が1億5千万台を突破しました。この記録も現在も破られておらず、「世界一売れたゲーム機」としてギネスブックにも登録されています。

そのほかのニュースにも触れておきましょう。9月15日に開幕となったシドニーオリンピックでは高橋尚子の女子マラソン五輪最高記録(当時)での優勝、柔道の田村亮子(現谷亮子)の金メダル獲得などが話題となりました。

ニ千円紙幣が発行されたのもこの年です。最近はすっかり見かけなくなりましたが、今もちゃんと使えますのでお間違えのないように。そのほか有珠山・三宅島の噴火、17歳の少年による西鉄バス乗っ取り事件、著名な考古学研究者による旧石器の発掘ねつ造事件などが世間を騒がせました。

主なヒット曲はサザンオールスターズの『TSUNAMI』、福山雅治の『桜坂』、SMAPの『らいおんハート』など。映画ではトム・クルーズ主演の人気スパイ映画の2作目『M:I-2』、スティーブン・キングの長編小説を映画化した『グリーンマイル』などが人気となりました。

アニメでは『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』、『とっとこハム太郎』、『犬夜叉』などがヒット。マンガでは村上もとかの『JIN-仁-』、羽海野チカの『ハチミツとクローバー』、奥浩哉の『GANTZ』などが、この年に連載開始となっています。

2000年はこのような年でした。では、この年のヒット作を紹介していきます。もちろん1本目は『ドラクエVII』ですが、実はもうひとつの趙人気RPGの最新作も、この年に発売されています。それではどうぞ!

ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち

発売日:2000年8月26日

機種:プレイステーション

販売元:エニックス(現スクウェア・エニックス)

数々の社会現象を巻き起こしてきた『ドラクエ』シリーズですが、本作も発売前から大いに世間を騒がせました。ことに1997年1月にプレイステーションでの発売を発表した際の反響は大きく、家庭用ゲーム機の覇権が任天堂からソニーに移った象徴的な出来事として、新聞やテレビで大々的に取り上げられました。

ソフトの発売に時間がかかった点も本作をめぐる出来事のひとつと言えます。初めてのプレイステーションでの開発で、データが大容量化したこともあって何度も発売が延期。1999年には初詣に来た人たちが神社で「(『ドラクエVII』が)出ますように!」と祈るプレステのCMが流れ、これまた人々の関心事となりました。言い換えると、それだけファンの期待がすさまじく大きかったわけです。

実際、発売されるや驚異的ヒットとなり、国内出荷本数400万本超えを達成(※1)。初代プレイステーションの歴代ソフト出荷本数で1位となっています。ゲーム開始時は小さな島だけしか存在せず、各地に隠されている石板を見つけることで世界が広がっていくという独特のシステムも話題を呼びました。

奥の深いストーリーも秀逸のひとこと。世界を旅する過程で、さまざまな町や村の抱える問題に直面することになるのですが、考えさせられたりスッキリしなかったりとビターな内容のエピソードが多く、そこが本作の大きな魅力になっていました。

さらにボリュームも大幅アップ。寄り道せずにプレイした場合のクリア時間がだいたい80~100時間くらいなのですが、当時のRPGは30~50時間くらいがスタンダードで、異例ともいえる内容の濃さに驚かされたものです。それだけにやり応えは抜群で、今プレイしても十分に楽しめる名作です。

※1:一般社団法人コンピュータエンタテインメント協会発行の『2018CESAゲーム白書』より

ファイナルファンタジーIX

発売日:2000年7月7日

機種:プレイステーション

販売元:スクウェア(現スクウェア・エニックス)

この年は『ファイナルファンタジー』のシリーズ最新作も発売されています。『ドラクエ』と『FF』の最新作が同じ年に発売されたのは、1992年の『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』と『ファイナルファンタジーV』以来のことで、かなり異例の出来事でした。発売日も非常に近く、2大RPGの直接対決がメディアの注目となりました。

そんな『ファイナルファンタジーIX』ですが、発売前からRPGとしての原点回帰がうたわれていました。『FF』は『VII』、『VIII』でサイバーパンクな世界観や等身大で描かれたキャラクターが人気を博しましたが、今作は剣と魔法の王道ファンタジー世界が舞台。登場人物も3頭身ぐらいの可愛らしいデフォルメキャラになっているなど『V』以前を彷彿とさせる内容になっていました。

とはいえ、メッセージ性は非常に強く、「生きること」「死ぬこと」の意味を真っ向から問うたストーリーは見応えバツグンでした。その象徴となっていたのが黒魔導士のビビで、彼の健気な姿に多くのプレイヤーは「キュン」となったものです。

さらに、主題歌『Melodies of Life』の歌詞がストーリーのテーマとしっかりリンク。ゲームが大団円を迎え、この曲がエンディングで流れてきたときには思わず泣きそうになったという人も、いたことでしょう。随所に散りばめられた歴代作品のオマージュネタも楽しく、初期~中期『FF』の総決算というべき1本です。

ファンタシースターオンライン

発売日:2000年12月21日

機種:ドリームキャスト

販売元:セガ(現セガゲームス)

家庭用ゲームにおけるオンラインゲームの先駆けとなった野心作です。すでにパソコンで『ディアブロ』(ブリザード・エンターテイメント)や『ウルティマオンライン』(エレクトロニック・アーツ)が人気を博し、オンラインゲームの存在は認知されつつありました。しかし、家庭用ゲーム機では、まだそうしたゲームはほとんどなく、マニア以外には少し敷居が高い存在でした。

そこに登場したのが本作です。最大4人でチームを組み、惑星オラグルを探索していくというもので、スタンドアローンでのプレイも可能になっていましたが、正直言って、ひとりでのプレイはやや単調で、個人的には今ひとつという印象でした。

ところが、ネットを介してのパーティープレイになると面白さが格段にアップ。互いに協力し合いながらのプレイは非常に楽しく、「誰かと一緒に冒険する」ことの魅力を多くのゲームファンに知らしめました。

現在はネットの常時接続が当たり前になっていますが、当時は接続時間に応じて課金されるシステムでした。そのため、深夜から明け方まで料金が一定額になるテレホーダイに加入して、深夜にひたすら遊んだという人も多いことでしょう。このようにネットゲームがまだ盛んではなかった時代に、本作が与えた衝撃は非常に大きく、第5回日本ゲーム大賞の大賞作に輝いています。

スーパーロボット大戦α

発売日:2000年5月25日

機種:プレイステーション

販売元:バンプレスト

古今の人気ロボットアニメの登場人物やメカが総登場する『スパロボ』シリーズ。その最大のヒット作となったのが、この『スーパーロボット大戦α』です。

最大の見どころは、やはりロボット同士の戦闘時に流れる映像でしょう。戦闘シーンの映像は『スパロボ』シリーズの魅力のひとつでしたが、今作は映像の再現度やクオリティが大幅にパワーアップ。一部のアクションは原作アニメ以上にカッコよくなっており、アニメファンを狂喜させました。

そのほか、クォータービュー形式の立体的なマップや戦闘シーンのカット機能、プレイの内容によって難易度が変化する熟練度システムなどを採用。これらの要素の多くはのちの作品にも受け継がれており、本作は以降のシリーズ作のひな形になったと言えるでしょう

ちなみに本作はドリームキャスト版も発売されています。ユニット同士が協力して技を繰り出す合体攻撃が可能となり、新たなエンディングルートも追加されるなど、プレステ版とまた違った面白さになっていますので、こちらもぜひプレイしてみてください。

PS2の登場で旧ハードとなった初代PSですが、この年は他にも数々の名作・佳作が登場しています。特に話題となったのが『高機動幻想ガンパレード・マーチ』(SCE:現SIE)です。謎の存在「幻獣」と戦う学生たちの日常を描いたもので、戦略シミュレーションと学園アドベンチャーを合体させたような内容になっているのですが、とにかく自由度が高く、戦闘も歯応え抜群でハマるプレイヤーが続出。発売当初はあまり目立った存在ではありませんでしたが、クチコミで人気が広がり、異例のロングヒットとなりました。

そのほか、『機動戦士ガンダム』の世界を舞台にしたウォーシミュレーション『機動戦士ガンダム ギレンの野望~ジオンの系譜~』(バンダイ:現バンダイナムコエンターテインメント)、少年時代の夏休みを疑似体験できるほのぼのゲーム『ぼくのなつやすみ』(SCE)などがスマッシュヒット。『北斗の拳』の世界を完全再現した『北斗の拳 世紀末救世主伝説』(バンダイ)、さまざまな爆弾解体に挑むシュールな実写ゲーム『鈴木爆発』(エニックス)、『オウガバトル』シリーズの生みの親である松野泰己氏が手がけたアクションRPG『ベイグラントストーリー』(スクウェア)なども話題となりました。

ニンテンドウ64では、『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』(任天堂)が同じ3日間をループしながら物語を進めていくという斬新なシステムで話題に。『マリオテニス64』、『星のカービィ64』、『ポケモンスタジアム金銀』(いずれも任天堂)なども人気となりました。また、最大4人で対戦できるFPS『パーフェクトダーク』(任天堂)、傑作タイトル『風来のシレン』の続編となる『不思議のダンジョン 風来のシレン2 鬼襲来!シレン城!』(任天堂)といった作品もゲームファンからの高い評価を集めました。

ドリームキャストでは、おなじみの『バイオハザード』シリーズの第4作目となる『バイオハザード-CODE:Veronica-』(カプコン)がヒット。インラインスケートで駆け巡りながら街中にラクガキしていくクールなアクションゲーム『ジェットセットラジオ』(セガ)も話題となりました。しかし、セガはこの年の11月に他社ハードへのソフト供給を発表。翌2001年に家庭用ゲーム機の開発から撤退することとなります。

この時期は携帯ゲーム機市場がさらなる広がりを見せており、ゲームボーイの『ポケットモンスター クリスタルバージョン』(任天堂)がビッグヒットを記録。『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』シリーズの第4作目となる『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ4 最強決闘者戦記』(コナミ)、ゲームボーイ本体を傾けて画面内のカービィを転がしていく『コロコロカービィ』(任天堂)なども人気となりました。

また、この年の12月9日にバンダイの携帯ゲーム機ワンダースワンの液晶をカラー化したワンダースワンカラーが発売。ハードと同時に発売されたリメイク版『ファイナルファンタジー』(スクウェア)がスマッシュヒットとなりました。その他の出来事は以下の通りです。

【そのほかのゲーム業界の出来事】

3月10日:マイクロソフトが「Xbox」の発表を行う

7月7日:初代プレイステーションの小型版「PS one」が発売

7月14日:ワンダースワンに携帯電話を接続する「モバイルワンダーゲート」が発売

8月24日:任天堂が新ハード「ゲームキューブ」の発表を行う

12月31日:ナムコワンダーエッグが閉園

いかがだったでしょう。振り返ってみると、PS2の登場によりゲーム開発の大規模化に拍車がかかり、中小の開発会社が携帯ゲーム機に活路を見出すなど二極化が進み始めた年だったように見えます。また、『ファンタシースターオンライン』の登場は『モンスターハンター』をはじめとする、オンラインでの協力や対戦要素を持つゲームの登場をうながすこととなりました。2000年はさまざまな意味で、ゲーム業界にとってターニングポイントとなった1年と言えるかもしれませんね。

仁志睦