WRC:トヨタ、ラリーGB制覇へ視界良好。マキネン、「最終日に向けて、2台ともいい位置につけている」

 10月5日(土)に行われた2019年のWRC世界ラリー選手権第12戦ラリーGB競技3日目。ヤリ-マティ・ラトバラのリタイアで2台のトヨタ・ヤリスWRCでの戦いとなったTOYOTA GAZOO Racing WRTはポイントリーダーのオット・タナクが11秒までリードを広げて総合首位を守った。総合3番手で臨んだクリス・ミークはポジションをひとつ落としたものの、総合4番手につけている。

 ラリーGBの競技3日目はイギリス・ウェールズ中部の森林地帯を中心にSS11~17までの7SSで争われた。1日の合計距離は151.24kmと今大会最長で、日中にマシンを整備するサービスが設けられない厳しい1日となった。

2019年のWRC第12戦ラリーGB、競技3日目は断続的に雨が降るコンディション

 この日もウェールズ中部は天候が安定せず、断続的に雨が降るような状況。コースのグラベル(未舗装路)も水を含んで泥状になり、グリップレベルが安定しない難しい状態で競技が行われた。

 3.4秒リードの総合首位で臨んだタナクは、リヤパンパーの破損で車内の騒音が酷くなり、コドライバーとのコミュニケーションに問題を抱える場面もあったが、SS11~12、SS14~16でステージ2位、SS17ではステージトップタイムを刻むなど、終始安定したパフォーマンスでリードを広げることに成功した。

 前日、総合2番手だったセバスチャン・オジエ(シトロエンC3 WRC)と0.2秒差につけていたミークは、SS12で総合4番手のティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)に交わされて表彰台圏内から脱落してしまう。

 しかし、その後は難しいコンディションのなかでミスのない安定した走りを続け、総合3番手と9.2秒差の総合4番手につけている。

 チーム代表を務めるトミ・マキネンは「ふたりのドライバーは少しもミスをすることなく、素晴らしい仕事をしてくれた。予想よりも大変な1日だったと思うが、よく戦ったと思うよ」と両ドライバーをねぎらった。

「明日のラリー最終日に向けて、2台ともいい位置につけている。ライバルとの差は決して大きくないが、きっとすべてが計画どおりに進むだろう」

 前日よりリードを広げ優勝に近づいたタナクは「とてもタフで困難な1日だった。ステージは長くコンディションはトリッキーで、最後のステージでは濃い霧が出始め、路面はかなり荒れていた」とコメントしている。

オット・タナクのトヨタ・ヤリスWRC

「また、リヤバンパーを失ったことで車内が騒音に包まれ、ペースノートを読み上げる声が聞き辛く苦労した。タイム差は小さくまったくリラックスできないが、それでもこの週末において最大のマージンを手にしているのは確かだ」

タイヤフィッティングゾーンでタイヤ交換するクリス・ミーク(左)

 表彰台圏内からは脱落したものの、依然として上位争いに加わっているミークは「今日は、少し苦戦した。もちろん全力を尽くして走ったが、すべてのステージで数秒ずつ遅れ、差が開いてしまった」と走行をふり返っている。

 2019年のラリーGB、競技最終日となる6日(日)はSS18~22までの5SSであら追われる。最終ステージのSS22はステージ上位5名にボーナスポイントが与えられるパワーステージに指定されており、現地12時18分、日本時間で20時18分にスタートする予定だ。

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