せっかく一緒になれたのに…35歳女性「略奪婚」後に残ったお金問題

不倫の恋をした結果、彼が離婚。やっと結婚できたのに彼は養育費で四苦八苦、あげく休日も「子どもに会う」と出かけてしまう。大好きな人と愛し合って暮らしていけると思った「略奪婚」が意外なことに……というケースは少なくありません。


9年は長かった

ユリカさん(35歳)が、職場の上司だった10歳年上の彼とつきあい始めたのは25歳のとき。当時、彼には4歳の子がいたが、「夫婦仲は冷え切っている。子どもが小学校に入ったら離婚する。僕にはきみが必要なんだ」と熱心に口説かれ、心が揺らいだといいます。

「不倫なんてイヤでしたけど、私も彼のことが好きだったから、つい……。2年ほどたったところで社内で噂になりかけたので、私は転職しました。ちょうど学生時代の先輩から『うちに中途入社しない?』と誘われていて、とてもやりたい仕事だったので」

それを機に実家を出てひとり暮らしを始めました。彼は週に2回はやってきました。外でデートしてから彼女の部屋に来ることもあったし、直接やってきて一緒に料理を作ることもあったそうです。

「彼の家、会社から2時間近くかかるんです。だからうちに泊まっていくこともありました。奥さんにはカプセルホテルに泊まると言っていたようです」

子どもが小学校に入っても、彼からはなかなか離婚の話が出てきませんでした。自分から急かすのはやめようと思っていましたが、とうとう彼女は口にしました。

「結婚の話はどうなったの?」

彼は顔をしかめました。

「オレは話してるんだよ、だけど妻がうんと言わない。条件闘争になるかもしれない」

彼女は、彼は妻には話していないのだと理解したといいます。30歳になったとき、ユリカさんは彼に告げました。

「あと3年だけ待つ」

離婚は成立したものの

だが3年たっても、彼は何も言いませんでした。週に2回ほど通ってくるペースは変わらないまま。彼女自身、仕事が楽しくなっていたから、一時期は特に結婚を焦らなくてもいいとさえ思っていました。だが、気づけば33歳。このままだと出産できなくなる、そう思ったとき、彼女は彼の妻のSNSにネットカフェから「あんたの夫、浮気してるよ」と書き込みました。

数日後、彼があたふたと彼女の部屋にやってきました。

「妻にバレた、どうしようって。ここが正念場だと思いました。だからせっかくの機会だから離婚したいって言えば? それが言えないなら私と別れてとキッパリ言い渡しました。結局、彼の奥さんが怒りまくって私の携帯などを調べたようで、ある日、奥さんから慰謝料200万円を払えと請求がありました」

妻は怒りにまかせて彼にも離婚を宣言。すべての預貯金を渡すこと、家のローンも彼が払い続けること、養育費を出すことなどを条件に離婚するということになりました。

「でも彼に言わせれば、私とつきあう前から夫婦仲は破綻していたわけで、それはあまりにも取り過ぎですよね。結局、双方で弁護士をたてて話し合いを続けたようです」

話し合うこと数ヶ月、預貯金は半々、家のローンは彼が払う、養育費も払うということで落ち着きました。他に慰謝料として彼の社内預金ももっていかれたとか。ただ、こういった内容を彼女が聞いたのは、彼が彼女の部屋に転がり込んできて半年ほどたち、婚姻届を出してからでした。

「離婚が成立した、ユリカの家で暮らそうと言われたときはうれしくて。2DKの部屋を片づけ、ようやく彼との生活も軌道に乗って婚姻届も出した。これで正々堂々とふたりで歩ける。彼に心から『ありがとう』と言ったとき、『実は……』と家のローンや養育費のことを知ったんです。いろいろ尋ねたら、彼のそのときの預貯金は100万円ほど。しかも月々10万円をとられ、ボーナスはローンの上乗せがあるからほとんど残らない。毎月、生活していくのがやっとです。今の賃貸マンションから引っ越すこともできないし、まして私が子どもを産むなんて経済的に無理だとわかりました」

しかも、彼は元妻にたびたび呼び出されます。今週は娘のピアノの発表会、次の週は娘のバレエ教室での参観日などなど。学校行事についても逐一、予定が送られてくるのです。

次に決意したものは

「お金もとられ、時間もとられ、彼自身も取られている。そんな気がします。行かないでほしいと言っても、彼は『元妻に会いにいくわけじゃない、娘が来てほしいと言ってるんだ。子どもの言うことだからしかたがないよ』と出かけていく。なんのために9年も待って結婚したのかわからない。彼は『ユリカを愛してるから結婚したんじゃないか』と言いますが、あの状況だったら奥さんはどうしたって離婚したはず。となると、私は奥さんがいらなくなった夫をもらい受けただけ? そんな疑問もわいてきます」

そしてユリカさんは決意しました。妊娠しよう、子どもを産もう、と。

「彼が子どもはちょっと待ってほしいというのでピルを飲んでいたんですが、すでに飲むのをやめました。彼は私がまだ服用していると思っています。生活が苦しくなるのはわかっているけど、どんなことをしても産んで育てていきたい。そう思っています。そうしなければ私は奥さんに勝ったことにならないもの」

彼を奪っただけでは勝ちとは言えない。子どもを産んでこその勝利なんだからと彼女は決意に満ちた表情で断言しました。

お金や子どもとの関係、盲点ですが意外に起こりうる問題なのかもしれません。

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