【松崎順一の昭和プロダクト考古学】ナショナル BCLラジオ

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ナショナルは直読で世界を聴くラジオという分野を確立させた。

今まで、BCL(Broadcasting Listeners)ラジオのカタログを何回か紹介してきたが、そもそもBCLという言葉はいつどこで生まれたのだろうか。私は70年代半ばに愛読していた「ラジオの製作」という雑誌で、短波放送を聴くことをBCLと紹介していて知った記憶がある。

ちなみに72年頃の短波が受信できるラジオのカタログには、電波ハンティングという言葉が登場していた。この辺りからBCLの兆しが感じられる。

ナショナルのBCLラジオは筆者にとっても懐かしさがあり、初めて親に買ってもらったラジオが、クーガ115という短波放送がフルバンド受信できるBCLラジオだった。このラジオは周波数の直読は出なかったが、ベリカードと呼ばれる世界の放送局からのカードを沢山集めることができた。さらにクーガ115は、AM放送も上部のジャイロアンテナをクルクル回して、北海道や九州などの放送局の受信にも大活躍したラジオだった。

今回はそんな思い出が沢山詰まった、ナショナルのBCLラジオの総合カタログを見てみよう。

1978年といえばBCLブームもやや落ち着いた頃で、BCLたちが2台目、3台目を考えていた頃の製品が掲載されたカタログだ。表紙はそのためラジオはどれも高性能化しており、暗闇に光るメカニカルなリグ(受信機を総称してこう呼ぶ)はメチャクチャカッコ良い。当時のBCLたちは、こんなシャック(受信機が置いてある部屋)に憧れていたに違いない。

では、中を開いてみよう。カタログが出た当時の最新モデルのRF-2600を筆頭に、上位機種4種がずらっと並んだ姿は実に壮観な眺めだ。上部にはナショナルのBCLラジオのコマーシャルに登場していたヨゼフ・ナジ氏とラルス・ライデン氏はマニアにとっては憧れの存在だった方々。

そして、FEBC、BBC、VOA、Radio Australiaと、お馴染みの放送局のイメージ写真が並び、異国情緒を演出している。BCLならこのページだけでお腹がいっぱいになってしまう。

さらに開くと4ページに渡って、最新順に掲載している。

まずはRF-2600だ。当時はこのブルーに輝くデジタル周波数カウンターがカッコ良く憧れたものである。

さらにRF-2600はFM、AMも直読できるカウンターが特徴で、クーガ115の後RF-2800を買った筆者としては悔しい思い出がある。

続いて登場するのはナショナルで初めてのデジタルで直読可能のRF-2800だ。このRF-2800よりクーガからプロシードに名称が変更された記念の機種だ。両側のガードアームがハードなイメージで、メカニカルなインターフェィスとともに今でも魅力の一台だ。

次のページはプロシードシリーズの最高峰RJX-4800が上に、そしてその下にクーガーで周波数が初めて直読可能になった名機、RF-2200が掲載されている。

RJX-4800はプロシードの名称はついているが、価格的にはアマチュア無線のRJXシリーズのカテゴリーに入ると思われる高級受信機だ。流石に憧れただけだった機種だ。RF-2200は直ダイ・メカの宣伝効果で当時圧倒的な人気のあった機種だ。

さらに次のページでは、RF-2200の弟分のRF-1010とちょっと古いMAC-BCLのRQ-585も載っている。RF-1010は直読はできないが、2200のデザインを継承し、短波を気軽に聞けた機種だった。
ナショナルの中では短波が録音できた機種は意外と少なく、その代表的なものがRQ-585だった。

最後のページは先ほども紹介したが、シャックを作る提案のページだ。RF-2200を中心に台や時計、照明器具などアクセサリーパーツを組み合わせたシャックは、クーガ2200を買った人なら一度は憧れたはずだ。今となっては、BCLラジオ本体よりもこちらのアクセサリーを探している人も多いと聞いている。
 
出典: 松下電器産業株式会社 BCL カタログ  (1978年)

ゴールデン横丁の仲間たち | 松崎 順一(まつざき じゅんいち)

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