70年目の頂点へ ベイ、阪神にサヨナラ勝ち

本拠地初のクライマックスシリーズでのサヨナラ勝ちに大喜びのベイスターズファンら=横浜スタジアム

 6日に横浜スタジアムで行われたプロ野球セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージで、横浜DeNAベイスターズは阪神にサヨナラ勝ちした。対戦相手などのデータ分析を担う横山道哉氏(42)は「選手が気持ちよくプレーしてくれれば」と21年ぶりの日本一を目指すチームを裏方として支える。

勝利導くアナリスト データ駆使し助言・横山さん

 レギュラーシーズンでは6年連続で負け越している難敵の阪神戦。横浜スタジアムの一塁側ベンチには、現役時代と変わらない険しいまなざしで戦況を見つめる横山氏がいる。刻一刻と変わる試合展開を見極め、データを駆使するアレックス・ラミレス監督に適切な助言をしていく。

 96年に横浜高から入団し、日本一になった1998年は中継ぎで53試合登板。190センチ、98キロと大柄で佐々木主浩さんと同じように球威のある直球とフォークボールを武器に「小魔神」と呼ばれ、日本一に貢献した。当時はプロ3年目。「あの時はチームで一番若かったのかな。投げて抑えるのに必死で楽しんでいる余裕はなかった」と振り返る。

 日本ハムでもリリーフとして活躍し09年に引退。現在はチームのアナリスト5人のリーダーとして、ミーティングで使用するデータの収集、分析を行う。球場ごとの打率や対戦投手の左右別の被打率など、毎試合前に監督、コーチ、選手に個別に用意する資料は多い時でA4用紙千枚近くに上るという。

 横山氏は今季の戦いぶりを5位から2位に浮上して優勝の礎を築いた97年と重ね合わせ、「雰囲気はあの時に似ているかな」と話す。チームは7日、巨人とのファイナルステージ進出を懸けて阪神との最終第3戦に臨む。「日本シリーズに出られるチャンスはあるんだから、みんなで頑張るだけ」。堅実な仕事ぶりで日本一へと走るチームをサポートする。

劇的な勝利に沸くベイファン

「感動した」「打った瞬間泣いた」

 試合を決めるアーチが横浜の夜空に描かれると、スタンドの盛り上がりは最高潮に達した。横浜スタジアム(横浜市中区)で6日にあったプロ野球のクライマックスシリーズ第2戦。横浜DeNAベイスターズが演じた劇的な幕切れに、地元ファンは「感動した」と沸きに沸いた。

 同点の九回裏、乙坂智選手が打席へ。横須賀市から来た田中俊一さん(48)は「彼しかいない」と信じて見守っていた。打球はそんな願いを乗せて外野席へ。サヨナラの2点本塁打に「打った瞬間は倒れ込んで泣いてしまった」と涙を浮かべた。

 試合終了後も興奮は冷めやらない。会員制交流サイト(SNS)で応援団グループを運営するという横浜市港南区の栗原裕治さん(45)は、ファン同士で記念撮影。「日本シリーズまで喜びを分かち合いたい」と、早くも日本一を決める舞台への進出を期待した。

 一方、球場近くの飲食店も大にぎわいだ。勤務先の同僚と居酒屋でテレビにくぎ付けだった同区の神田真理さん(42)は「店内のファンと楽しめた」とうれしそうだった。

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