トヨタTS050国内ラストレースを飾った中嶋一貴「なんとしても勝ちたいと思っていた」/WEC第2戦富士 優勝会見

 10月6日に富士スピードウェイで行われた2019/20年のWEC世界耐久選手権第2戦。途中雨が降り、コンディションが変化する難しいレースを制した各クラスのドライバーたちがレースをふり返るとともに、優勝の喜びを語った。

■LMP1クラス優勝:8号車トヨタTS050ハイブリッド/TOYOTA GAZOO Racing

●セバスチャン・ブエミ
「トヨタにとって富士でのレースは重要なもので、ル・マン(24時間レース)の次に大きな意味を持つ1戦だ。この週末はチームにとっての要人やゲストも多くサーキットを訪れているから、なおさらだよ」

「長いレースだし簡単な戦いではなかったけど、勝利を手にすることができてうれしいよ。次の上海では7号車(トヨタTS050ハイブリッド)と、僅差の争いになるだろうから、それも楽しみだ」

2019/20年WEC第2戦富士を制した8号車トヨタのブレンドン・ハートレー、セバスチャン・ブエミ、中嶋一貴

●中嶋一貴
「このトヨタTS050ハイブリッドで戦う最後の富士戦だったので、この勝利には大きな意味がありますね。これまで苦楽をともにしてきた、まるで友人のような存在のクルマですから。なんとしても勝ちたいと思っていました。それを遂げることができてうれしいです」

「レース自体は本当にタフでした。天候も目まぐるしく変わっていきましたし、ペナルティも受けてしまいました。そんななかで、しっかりギャップをマネジメントする必要がありました」

「ただレースペースはよかったですし、トラフィックなどもうまく処理できていました。勝利に値する仕事ができたと思っています」

●ブレンドン・ハートレー
「今シーズン、僕が乗り込むときは必ずトリッキーなコンディションに直面するんだ。それでも完璧なタイミングでカズキ(中嶋一貴)にバトンをつなぐことができた」

「ブエミには『カズキは生まれたときからレースをしているようなやつだから安心していい』と言われたよ(笑)。途中、ピットレーン速度違反でペナルティを受けてしまったけれど、充分なマージンを作り出せていた」

「今回から導入されたサクセス・ハンディキャップの影響で、ドライブしているときの興奮は少し減っているかもしれない。それでもトヨタ加入後の初優勝を手にできて満足している」

■LMP2クラス優勝:29号車オレカ07・ギブソン/レーシングチーム・ネダーランド

●ニック・デ・フリース
「ポディウムを目指してレースをスタートした。第1スティントを担当したギド(ヴァン・デル・ガルデ)は最高の走りをして、充分すぎるマージンを築いてくれた」

「ドライバー3人はもちろん、チーム全体があらゆる状況に完璧な形で対処することができていた。マシンも信じられないくらい速かったし、僕自身も最高の仕事をしようと心がけた」

「レースは途中トリッキーなコンディションに見舞われた。1周ごと、コーナーごとに状況が変わるようなコンディションだったから、つねにグリップレベルを探りながら走っていたよ。それでも勝利を掴むことができた」

「勝てるとは思っていなかったから驚いたけれど、チームの全員、とくに(ブロンズドライバーの)フリッツ(バン・イアード)は勝利にふさわしい仕事をしたと思う」

●フリッツ・バン・イアード
「LMP2マシンでの初勝利を手にできてうれしいよ。私がWECを戦うのは今年で2年目。去年は苦労を強いられたから、今年はシャシーを変えることにした。この決断がいい形で作用している」

「そしてスタッフ全員がチームを競争力ある存在にしてくれている。今年は2戦連続で表彰台に上がっていて、2回目の表彰台は優勝という形になった」

「私はブロンズドライバーだから、あらゆることが新鮮だよ。ブロンズドライバーが優勝することなんて、なかなかないことだからね。チームメイトのふたりが信じられないくらい素晴らしい仕事をしてくれたおかげだ。私はラッキーな男だと思うよ」

●ギド・ヴァン・デル・ガルデ
「前戦のシルバーストンと比べるとスタートポジションは後ろになってしまった。前回はポールポジションで、この富士ではクラス7番手スタートだったからね」

「ただスタート直後の1コーナーで一気に3~4台は交わすことができた。その後トップに浮上してからも、うまくギャップを広げることができたよ」

「今日のマシンは素晴らしかった。チームが最高の仕事をしてくれたおかげだ。フリッツとは2年間一緒に働いているし、去年は苦労をともにした。だから、今回の結果は最高だよ」

「今日はこのあと祝勝会でたくさんビールを飲むだろうから、今からそれが楽しみなんだ。優勝トロフィーを手にしたんだし、少し羽目を外してもいんじゃないかな(笑)」

■LM-GTEプロクラス優勝:95号車アストンマーティン・ヴァンテージAMR/アストンマーティン・レーシング

●ニッキー・ティーム
「GTEプロクラスの一員としてレースを戦うことは、世界でも数少ない最高の仕事だと思っているから誇りに思うよ」

「去年は特にドライコンディションでのパフォーマンスに苦労していたけれど、今日優勝を手にできて最高だよ。チームに勝利をもたらすことができてよかった」

●マルコ・ソレンセン
「スタートから1時間は本当に楽しかった。接近したバトルが楽しめるレースが大好きだからね。前方でも後方でもバトルが起きていたし、僕自身もオーバーテイクをきめることができた。楽しみながらドライブできたよ」

「最初の1時間はあっという間に過ぎていった印象がある。そのあと、ニッキー(ティーム)に交代したが、彼も素晴らしい走りをしてくれた」

「そのあと長いスティントを担当することになった。雨が降ってくるタイミングだったけれど、スリックタイヤを履き続けることになり、少しトリッキーだったけど、うまくマネジメントできた」

「いい1日だったし、チームとしても勝利にふさわしい仕事ができたと思っている」

■LM-GTEアマクラス優勝:90号車アストンマーティン・ヴァンテージAMR/TFスポーツ

2019/20年のWEC第2戦富士、LM-GTEアマクラスを制したTFスポーツの90号車アストンマーティン・ヴァンテージAMR

●ジョナサン・アダム
「天候が影響して、レースはトリッキーだった。僕のスティントではギャップを維持することが主な仕事だった」

「こういった状況でクラス2位に充分なマージンを築けたことはうれしいね。それにLM-GTEアマクラスを戦うアストンマーティン・ヴァンテージAMRに勝利をもたらすことができたこともうれしく思う」

●チャールズ・イーストウッド
「最高だ。シルバーストンでも速さを発揮できていたけれど、残念ながらそれをリザルトにつなげることができなかった」

「今回は強い期待をもって臨んでいたから、TFスポーツに勝利をもたらすことができてよかった。スタートからフィニッシュまで完璧と言っていい戦いができたよ」

「この勝利は僕たちに必要なものだったし、シーズンをとおして、この流れを維持し続けたいね」

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