Suicaの利便性がアップ、交通系ICカードの基本と進化した機能を解説

キャッシュレスで改めて交通系ICカード(電子マネー)が注目されていますが、実はSuicaも進化しています。

自動改札機の読み取り部分にタッチするだけで通過できる交通系ICカードの普及により、首都圏では1枚のICカードで電車・バス・モノレールなどの交通機関に乗車できるほか、飲食店や物販店、コンビニ、スーパー、量販店などの買い物にも使用できるようになりました。他社線が連絡する駅では乗換専用自動改札機にタッチするだけで、乗換駅までの運賃精算と次に利用する会社線の入場記録ができるなど、利便性も大幅にアップしています。

今回は首都圏エリアで使用できる交通系ICカードの概要および便利な機能などについて紹介します。


交通系ICカードの概要

交通系ICカード(電子マネー)と言っても、発行会社によって名称や利用できる範囲が異なります。

JR系では、JR北海道の「Kitaca(キタカ)」 、JR東日本の 「Suica(スイカ)」、JR東海の 「TOICA(トイカ)」、JR西日本の「ICOCA(イコカ)」 、JR九州の 「SUGOCA(スゴカ)」 があります。

私鉄系では、関東私鉄の「PASMO(パスモ)」、名古屋私鉄系の「manaca(マナカ)」、関西私鉄の「PiTaPa(ピタパ)」、福岡市営地下鉄の「はやかけん」、九州私鉄系の「nimoca(ニモカ)」がありますが、関西私鉄の「PiTaPa」はクレジットカード方式(後払い)のため、ほかのプリペイドカード方式とは仕様が異なるので注意が必要です。

乗換自動改札機

電車やバスの異なるエリアをまたがって使用できませんが、首都圏の「Suica」と「PASMO」のエリアの相互直通区間などではまたがって利用できます。例えば、PASMOエリアの小田急電鉄線とSuicaエリアのJR東日本線とはまたがって利用でき、どちらのICカードでも通しで乗車できます。なお、2013年3月23日から上記の10のICカードは全国で相互利用できるようになっていますので、電車・バスに乗車する場合はどれか1枚でどのエリアにも対応しています。

小田急ロマンスカー

首都圏での利用は「Suica」「PASMO」

首都圏在住または首都圏への出張が多い方におすすめしたいのが、JR東日本の「Suica」および関東私鉄の「PASMO」です。関東私鉄の「PASMO」は、首都圏26の鉄道事業者と75のバス事業者で利用できる最強の交通系ICカードです。これ1枚あれば首都圏の電車・バスが乗り降り可能(一部の路線は利用不可)となります。そして、双璧を成すJR東日本の「Suica」ですが、携帯電話やスマートフォンで利用できる「モバイルSuica」の展開もあり、首都圏で一番利用者の多い交通系ICカードとなっています。

著者のSuicaとPASMO

今回は誰でも手軽に利用できる「Suica」の種類や購入方法などをご案内します。

「Suica」の種類と購入方法

JR東日本の駅の券売機やみどりの窓口では、記名式の「My Suica」と無記名式の「Suica」が購入できます。デポジット500円(カード返却時に戻ります)+チャージ金額500円~20,000円の最低1,000円から販売されています。

最低額の1,000円を購入の場合、電車・バスの乗車やショッピングなどで利用できるのは500円となりますが、このカードに券売機などでチャージすれば、チャージした金額分が使用できます。初期費用500円で1枚のカードを作成してチャージしていれば、半永久的(最後の使用から10年経つと失効)に使えるということです。

バスでも乗り降りできる

鉄道利用で「JRE POINT」が貯まる

エキナカや駅ビルの利用でポイントが貯まるのが、JR東日本グループのポイントサービス「JRE POINT」です。2019年10月1日から手持ちの「Suica」を「JRE POINT」に登録すれば、JR東日本線に乗車のたびにポイントが貯まるようになりました。携帯電話やスマートフォンの「モバイルSuica」は乗車券・グリーン券の2.0%、「ICカードタイプSuica」は0.5%のJRE POINTが付きます。「モバイルSuica」なら、「ICカードタイプSuica」の4倍ポイントが貯まります。

■列車に乗るたび貯まる!

●対象区間⇒JR東日本の在来線Suicaエリア
●ポイント付与日⇒乗車日の翌月下旬以降
●具体例⇒新宿駅から茅ヶ崎駅まで乗車。運賃1,166円。モバイルSuicaは23ポイント還元、カードタイプのSuicaは5ポイント還元

■Suicaグリーン券の購入でたまる!

●対象区間⇒JR東日本管内の普通列車グリーン車運行区間
●ポイント付与日⇒乗車日の翌月下旬以降
●具体例⇒東京駅から横浜駅まで乗車。料金780円(平日・事前料金)。モバイルSuicaは15ポイント還元、カードタイプのSuicaは3ポイント還元

次は意外と知られていない「IC企画乗車券」を紹介します。

「Suica」で利用できる「IC企画乗車券」

首都圏エリアの「休日おでかけパス」「都区内パス」などのトクトクきっぷは磁気券での発売のみでしたが、新たに手持ちの「Suica」でもトクトクきっぷが利用できるようになりました。フリーエリア内の駅の自動改札機をワンタッチでスピーディーに利用できるほか、当該のおトクなフリーきっぷのフリーエリア外に乗り越した場合でも、チャージ残高から自動精算を行うという便利さがプラスされています。なお、現在も発売されている商品に加え、新たにIC専用のおトクなきっぷ(IC企画乗車券)「のんびりホリデーSuicaパス」が発売されています。

●利用できるSuica⇒記名式の「My Suica」、無記名式の「Suica」、訪日外国人旅行者用の「Welcome Suica」
●利用できないSuica⇒利用中の「Suica定期券」、クレジットカードと一体となった一部の「Suica」、「モバイルSuica」
●ねだん⇒「のんびりホリデーSuicaパス」おとな2,620円、こども1,310円、「都区内パス」大人750円、こども370円、「ヨコハマ・みなとみらい パス」おとな520円、こども260円、「鎌倉・江ノ島パス」おとな700円、こども350円 ※新規でSuicaを購入される場合は別途預り金(デポジット)500円が必要
●うりば⇒各商品のフリーエリア内のJR東日本の駅のみどりの窓口、指定席券売機、多機能券売機、自動券売機

今回は首都圏エリアで使用できる交通系ICカードの概要および便利な機能についてご案内しました。まだ、交通系ICカードをお持ちでない方は、この機会に検討してみてはいかがでしょうか。

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