「五島崩れ」12月博多座上演 弾圧下 女性信者の生涯 潜伏キリシタン舞台化 故森禮子さんの小説

12月に上演される舞台「五島崩れ 椿の島のアヴェ・マリア」で主人公を演じる春日遥香さん(右から2人目)ら出演者=福岡市役所

 幕末維新期に五島列島で吹き荒れたキリシタン弾圧の中、愛と自由を求めひたむきに生きた女性信者の生涯や潜伏キリシタンたちを描いた舞台劇「五島崩れ 椿の島のアヴェ・マリア」が12月13日、福岡市博多区の博多座で上演される。
 福岡市出身の作家、故森禮子さんが史実に基づいて著した小説「五島崩れ」を舞台化する。「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界文化遺産登録を記念し、市民有志でつくる「森禮子さんの小説『五島崩れ』を舞台化する会」が企画した。会の発起人には、カトリック長崎大司教区の高見三明大司教らカトリック関係者、福岡県在住の五島列島出身者なども名を連ねている。公演は舞台化する会などが主催し、五島市が共催する。長崎新聞社など後援。
 物語は、久賀島で生まれ育った潜伏キリシタンの娘ミツを主人公に展開する。主人公を演じるのは福岡を拠点とするバレリーナ、春日遥香さん。春日さんは本格的な芝居は今回が初めてといい、「弾圧の中にあってミツが自分の心に素直に生きていく姿に魅了された。精いっぱい演じたい」と話した。9月中旬には春日さんら出演者と制作スタッフが久賀島や福江島などを訪れ、島民に話を聞くなどして当時に思いをはせた。
 劇中では、平戸市生月島のかくれキリシタンの人たちが「唄オラショ」を実演し、父親が久賀島出身のシンガー・ソングライター、五輪真弓さんも出演する。
 公演は昼と夜の2回。前売りはA席5500円、B席3500円(当日は各500円増)。ローソンチケットで取り扱う。S席は昼夜ともほぼ完売。問い合わせや、5人以上の団体割り引きの申し込みは「舞台化する会」(電092.752.8880)へ。
 また、絶版となっていた森禮子著「五島崩れ」は、里文出版(東京)から今月復刊される。

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