白熱した取組に沸く 大相撲秋巡業「JAとなみ野場所」

幕内取組で遠藤を攻める朝乃山(右)=県西部体育センター(写真部・垣地信治)

 大相撲の秋巡業「JAとなみ野場所」は7日、砺波市柳瀬の県西部体育センターで行われ、約3千人が白熱した取組に沸いた。富山市呉羽町出身の朝乃山(25)=高砂部屋=は石川県出身の遠藤(追手風部屋)を寄り切り、地元の声援に勝利で応えた。三役入りの可能性もある九州場所に向け「稽古に精進し、勝ち越しを目指す」と意気込みを語った。

 白鵬、鶴竜の両横綱をはじめ、序二段から幕内まで約120人の力士が土俵に上がった。

 朝乃山は低く鋭い立ち合いで右四つに持ち込んだ。土俵際まで押し込まれたが押し返し、もろ差しで遠藤を寄り切った。「夏の富山巡業後の9月場所は良い成績を残せた。砺波でも多くの声援がもらえたので来月の九州場所でも頑張りたい」と話した。

 床山が関取の象徴である大銀杏(おおいちょう)を結い上げる実演コーナーがあり、朝乃山がモデルを務めた。相撲の禁じ手を面白おかしく紹介する「初切(しょっきり)」や相撲甚句、やぐら太鼓が披露され、観客は巡業ならではの催しも楽しんだ。

 幕内の取組に先立ち、佐野日出勇JAとなみ野組合長があいさつし、朝乃山にとなみ野米と雪たまねぎ各100キロを贈った。(砺波支社・芝井悠太)

■「力すごい」「強くなって」

 郷土出身力士の登場に、来場者3千人から歓声が起きた。祖父と訪れた富山市赤田の井上英大(えいた)ちゃん(5)は拍手を送り「近くで見られてうれしい。力がすごかった」と目を輝かせた。

 朝乃山の活躍で相撲に興味を持ったという同市金屋の笹山睦子さん(67)は「笑顔がかわいく、愛嬌(あいきょう)があって、そして強い。横綱を目指してまだまだ強くなってほしい」とエールを送った。一緒に訪れた同市八幡の五十嵐久美子さん(69)はかつて、この日朝乃山が対戦した遠藤を応援していたが「今は朝乃山が好き」と勝利を喜んだ。

 砺波地方の住民も多く来場。大相撲ファン歴約50年という砺波市三郎丸の佐藤章一さん(70)は「初切が面白かった。地元で見るのは格別」と話した。(社会部・石黒航大)

幕内土俵入りで観客席に手を振る朝乃山(中央)
碧山を相手にぶつかり稽古を披露する朝乃山(右)
立ち合いで激しくぶつかる横綱の鶴竜(左)と白鵬
先場所優勝の御嶽海は阿炎に快勝
ファンにサインを求められる朝乃山
朝乃山を囲む大勢のファン

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