宮之浦岳(みやのうらだけ)って、どんな山?
- 標高: 1,936m
- 所在地: 鹿児島県熊毛郡屋久島町
- 体力レベル: ★★★★
- 難易度レベル: ★★★
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屋久島のほぼ中央に位置する九州の最高峰・宮之浦岳。周囲105kmの屋久島には、1,000m以上の山が45座以上もひしめき合っており、その姿から「洋上のアルプス」と呼ばれています。花崗岩が風化、浸食された奇岩が多く、観光だけでなくクライマーにも人気です。
大自然に圧倒される山
屋久島と言えば屋久杉が有名ですが、その樹齢はなんと1000年以上。1000年に満たない杉は、どんなに大きくても小杉と呼ばれて区別されます。
以前は、そんな屋久杉も建材などとして伐採されていましたが、昭和45年に伐採を中止。現在ではヤクザル、ヤクシカなどの野生動物も多く見ることができます。
縄文杉に会えるコースも
屋久島へ行くならぜひ見たいと思うのが縄文杉。荒川登山口よりのピストンコースが人気ですが、1泊2日で縦走すると宮之浦岳登山とセットで楽しめます。ただし、山中には避難小屋しかありません。寝袋や食料などの準備必要なので、しっかり確認してから計画しましょう。
トイレ設備の維持や登山道の整備、環境保全などにはお金が必要です。入山の際は、感謝を込めて協力金を納付するようにしましょう。
宮之浦岳の登山適期は?
「月に35日雨がふる」と比喩されるほど雨の多い屋久島。気象庁の各観測地点の中でも、年間降水量は日本一。その中でも、6月〜7月の梅雨の時期は特に雨量が多いです。南国のイメージが強い屋久島ですが、標高の高い所では冬には積雪もあります。3月までは残雪があるので要注意。
登山におすすめなのは4・5月の春シーズンか10・11月の秋シーズン。春にはヤクシマシャクナゲが人気。秋は登山に適した気候で、雨に降られずに済むかもしれませんよ。
日程には余裕をもって!
島へ渡る手段は限られる上、季節によっては便数もかなり少なくなります。天候の乱れや突然の機材トラブルなどで、島に足止めされることもしばしば。
余裕を持った日程で、いざと言う時に焦らないように。また、滞在中もしっかりと情報収集をしましょう。
日帰りコース|山頂までをピストンで!
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淀川登山口から山頂までを往復するコース。森からはじまり、湿原、岩、笹原と、バラエティに富む景色を楽しめます。
お手洗いや、食料を調達できる場所はほぼありません。携帯トイレ、食糧、水、しっかり準備してスタートしましょう。
コース詳細
淀川登山口からスタート。駐車場とトイレ、登山ポストが設置されています。通年使用できますが、冬季は路面凍結のため、近寄れないこともあります。
公共交通機関を利用する場合は、バスで「紀元杉」まで。そこから徒歩約30分です。
森の中を約40分歩くと、淀川避難小屋に到着です。小屋前はテント場になっており、トイレもあります。ここを過ぎると携帯トイレブースしかありませんので、注意しましょう。
しばらくは森の中を進みます。木道や木の階段も多くあり、花の季節には、この辺りからヤクシマシャクナゲやサクラツツジを見ることが出来ます。
しばらく進むと、左手に「高盤岳展望所」の案内があり、脇道を少し入ると目の前に高盤岳が。その頂上には奇岩「トーフ岩」を見ることができます。
急に視界が開け、小花之江河、花之江河と湿地が現れます。携帯トイレブースも設置されているので休憩ポイントに最適です。
日によって水量が増えることもあるので、足元には注意しましょう。
標高があがってくると、徐々に岩場が増えて来ます。鎖場も数カ所あるので、気を付けて進みましょう。
標高1700m地点の投石平は、黒味岳・投石岳・永田岳などを見渡せる絶好の休憩ポイントです。
栗生岳手前の鞍部には最後の携帯トイレブースが設置されています。
栗生岳(くりおだけ)は古くから山岳信仰の場にもなっています。
栗生岳をすぎると、やっと宮之浦岳の山頂が見え的ます。ヤクシマダケ(ヤクザサ)の群落の中を、山頂に向けてすすみましょう。
山頂に到着!ここからの展望は良く、島の山々はもちろん、天気の良い時には、九州本土や口永良部島、種子島までも見渡すことができますよ!
1泊2日コース|避難小屋泊で縦走、縄文杉も見に行こう。
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荒川登山口から、縄文杉、山頂を経由して淀川登山口へ下山する、1泊2日の縦走コース。トロッコ道では、屋久杉伐採でにぎわった集落跡を通過するなど、より深く屋久島を知ることができます。避難小屋は、ハイシーズンには混雑して中に入れないこともあるので、必ずテントを持って行きましょう。
コース詳細|1日目
荒川登山口より出発。駐車場、トイレ、更衣室、登山ポストが設置されています。3~11月はマイカー規制のため、荒川登山バスを利用しましょう。
スタートして3時間弱は、平坦なトロッコ道を歩きます。歩きやすい道ですが、時々板が外れているところや、濡れて滑りやすい所などもあるので注意してください。
途中いくつか橋がありますが、もともとトロッコ用なので、手すりなどはありません。苔などが付着して滑りやすくなっている場合もあるので要注意。
トロッコ道の終点、大株歩道入口に到着。橋の手前を右手階段より、本格的な登山道がスタートします。橋を渡るとトイレと水場があるので、休憩をとる場所に最適です。
縄文杉に到着するまでに、いくつかの有名な屋久杉に出会うことができます。中でも有名なのがウィルソン株。大坂城築城のために切られたと言われる巨大な切り株は、空洞になった内部へ入って見上げると、空がハート形に見えることで人気です。
スタートして約5時間、縄文杉に到着です。現在は保護のために展望デッキが設置されています。少し遠いですが、デッキから出て近付いたりしないように。
高塚避難小屋の裏にはトイレがあります。こちらで泊まることもできますが、水場は縄文杉までおりないとありません。
高塚避難小屋から約1時間で新高塚避難小屋に到着です。こちらにはトイレも水場もあるため、宿泊場所として人気です。
1日目はこちらで宿泊します。小屋にはヒメネズミが出る場合があるので、食糧とゴミは必ず密閉できる袋を用意しておきましょう。
コース詳細|2日目
2日目、いよいよ宮之浦岳山頂に向けて出発です。スタートして40分ほどで第一展望台に。天気が良ければここから山頂を眺めることができます。
第二展望台を経由して、標高1700mの平石岩屋へ。山頂手前にあるこのピークの上りでは、鎖場や急斜面が数カ所あります。十分気を付けましょう。
焼野三叉路の分岐から宮之浦岳方面へ。
山頂手前には、地元の山岳信仰「三岳参り」の大権現が祀られた祠があります。失礼のないように拝見しましょう。
山頂に到着です!下山は淀川登山口へ。前述の日帰りコースを参考にしてください。
アクセス情報
屋久島へ渡るには空路と海路があります。季節により便数が少なくなったり、気象により島から出られなくなることも。計画の際には、もしもの事も考え、利用予定ではないアクセス方法もひと通りチェックしておきましょう。
飛行機
屋久島空港発着の航空会社はJACのみです。鹿児島、福岡、大阪(伊丹)への便があります。時間のない方には空路がおススメです。
日本エアコミューター株式会社(JAC)
高速艇トッピー・ロケット
鹿児島、指宿、種子島から航行。季節により便数が変わりますので気を付けましょう。鹿児島からの直行便で、宮之浦まで約2時間。往復割引などもあるため、費用を抑えたい方にはこちらがおススメです。2ヶ月前から予約できます。
フェリー
マイカーで島に渡ることができるのが最大のメリットです。
◆はいびすかす
鹿児島(18:00)→種子島(船中泊)→屋久島(07:00)
フェリーはいびすかす
◆フェリー屋久島2
鹿児島(08:30)→屋久島(12:00)
フェリー屋久島2
バス・タクシー
島内の移動手段は、マイカー以外ではバスかタクシー便利です。お得なフリー乗車券もあるので、詳しくは観光協会のホームページをご確認ください。
屋久島観光協会
3~11月はマイカー規制のため、荒川登山口へ車で行くことができませんので、荒川登山バスを利用しましょう。バス乗り場は混雑しますので、チケットは前もって購入しておく方が安心です。詳細は屋久島山岳部保全利用協議会のホームページをご覧ください。
屋久島山岳部保全利用協議会
屋久島に行ったら食べたい名物料理
トビウオ
屋久島はトビウオ漁の水揚げ量日本一!島の周囲を流れる黒潮にのって、カラストビウオ、アヤトビウオなど、季節ごとに色々なトビウオが揚がります。唐揚げや塩焼き、刺身など、色々な調理法で提供されています。
首折れサバ
首折れサバとは、とれたてのゴマサバから500グラム以上の物を選び、首を折って血抜き処理をして鮮度をキープしたもの。日本最南端のブランド鯖です。刺身やサバすきで。燻製の真空パックもあり、お手頃価格でお土産にもおススメです。
ヤクシカ
山で会うと可愛いヤクシカですが、本州と同じく鹿害も深刻。そのため、ルールに基いて駆除され、その肉を飲食店などで提供しています。たたきなどで頂くことができ、臭みもなく、あっさりとした赤身でヘルシーです。
自然のパワーをあびに行こう!
様々な媒体で紹介されているので、なんとなく情報として知っているつもりになっていませんか?実際に入り込むと、その圧倒的な自然のパワーに驚かされます!
北アルプスなどとはまた違った魅力がある宮之浦岳登山を目的に、屋久島を訪れてみてはいかがでしょうか。
【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山してください。足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに! ・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんでください。