WEC:ケイ・コッツォリーノ、チームの初優勝達成に自信。「あれだけブロックされると思わなかった」フィジケラとのバトル

 10月6日に6時間の決勝レースが行われた2019/2020年のWEC世界耐久選手権第2戦富士でLM-GTE Amクラス4位を獲得したMRレーシングの70号車フェラーリ488 GTE Evo。レース中、ジャンカルロ・フィジケラ(54号車フェラーリ488 GTE Evo)と激しいバトルを繰り広げたケイ・コッツォリーノは「あれだけブロックされると思わなくて、気合入れてアウトから抜きました」とバトルをふり返った。

 コッツォリーノと石川資章、オリビエ・ベレッタの3名がマシンをシェアしているMRレーシングの70号車フェラーリはクラス9番手から決勝レースをスタートすると、序盤にはクラス5番手までポジションを上げる。

 コッツォリーノは102周目から1回目のスティントを担当するが、コースインしてすぐ、右リヤタイヤがスローパンクチャーしているとのアラートが出てしまう。

 ちょうどこのタイミングで、レースにはFCY(フルコースイエロー)が導入されていたため、「1周目は通過して様子を見ました」とコッツォリーノ。

「通常、内圧の数値は1.6~1.7ですが、(その1周で)1.2まで落ちてしまいピットに入りました。ここで25~30秒ロスしているので、結果的に表彰台を逃したポイントでしたね」

 ここでタイヤを履き替えて、コースに戻ったとき、前を走っていたのがフィジケラ操る54号車フェラーリ。コッツォリーノはニュータイヤを履いていた一方、フィジケラはユーズドタイヤを履いていたため、両者は接近、テール・トゥ・ノーズのバトルに発展する。

石川資章、ケイ・コッツォリーノ、オリビエ・ベレッタ組70号車フェラーリ488 GTE Evo

 同じフェラーリ同士のバトル、ダンロップコーナーのブレーキングや、その後のシケインでは互いにマシンをぶつけ合ったほか、GRスープラコーナーの立ち上がりでは横一列に並んだままコースアウト。フィジケラはランオフエリアを使ってコースへ復帰したが、コッツォリーノはダートエリアに飛び出し、マシンを跳ねさせながらコースへ戻るなど、激しいバトルを繰り広げた。

 コッツォリーノは、このバトルを「まさかあれだけブロックされると思わなくて、気合入れてアウトから抜きましたよ」とふり返る。

「フェラーリのなかで、『あれはやってはいけない』という話になっているようです。そこはチームプレイをした方がいいんじゃないかと」

「ただジャンカルロに対してなにか思っているわけでもないですし、お互いポジションのために戦っていますからね。ファンの方にも喜んでいただけたんじゃないかなと思います」

 レース終盤にはトリプルスティントを担当したコッツォリーノは、燃費走行をしながらも前を走るデンプシー-プロトン・レーシングの77号車ポルシェ911 RSRを一撃で仕留め、クラス4位でチェッカー。ポイントランキングでクラス3位となった。

「耐久レースは最後の最後までわからないですし、(GTEアマクラスは)まずはジェントルマンドライバーをいかに速くさせるかが大事」とコッツォリーノ。

「とにかく石川選手には落ち着いてもらい、周回遅れにならない程度で自分のペースで走ってくださいと伝えています。あとは危なそうなところは随時、無線で伝えています」

「自分が走っている時よりも緊張しますけど、僕がアドバイスしたことに対して石川選手も優等生でしっかり反応してくれています。これがランキングで3位を維持できている力だと思っていますよ」

 チームとしての戦闘力は急速に向上しているといい、「石川選手はWECフル参戦2年目で、日本よりも海外のサーキットが得意です。彼自身も毎戦自信がついてきているので、優勝は遠くないかなと思います」と期待を込めた。

WEC金曜会見に登場したケイ・コッツォリーノ(MRレーシング)
WEC参戦2シーズン目を迎えているMRレーシングの70号車フェラーリ488 GTE Evo

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