倒産件数が702件 9月では5年ぶりの700件超
2019年9月度の全国企業倒産（負債額1,000万円以上）は、件数が702件（前年同月比13.0％増）、負債総額は1,129億8,500万円（同38.6％減）だった。
件数は2カ月ぶりに前年同月を上回り、7月（802件）以来、2カ月ぶりに700件を超えた。9月としては2年ぶりに前年同月を上回ったが、1990年以降の30年間では2017年（679件）に次いで6番目の低水準だった。
負債総額は4カ月連続で前年同月を下回った。9月としては、30年間で3番目の低水準。これは負債100億円以上の大型倒産が1件（前年同月1件）、同10億円以上100億円未満が18件（同15件）、同5億円以上10億円未満が21件（同17件）発生したが、前年同月に会員向け食品通販の（株）ケフィア事業振興会（負債1,001億9,400万円）と関連15社の連鎖倒産（負債合計243億3,000万円）が発生した反動で大幅に減少した。
一方、同1億円未満は539件（構成比76.7％、前年同月比16.6％増）と、倒産件数の7割以上を占め、依然として小口倒産を中心に推移に変化はない。
- 「人手不足」関連倒産33件（前年同月27件）。このうち、「人件費高騰」が3件
- 形態別件数：破産が628件で、構成比は89.4％
- 都道府県別件数：前年同月を上回ったのが24府県、減少18都道府県、同数5県
- 負債別件数：負債1億円未満の構成比が76.7％、100億円以上の大型倒産が4カ月ぶりに発生
- 業種別件数：飲食業（58→73件）、医療，福祉事業（21→32件）、飲食料品小売業（23→27件）、機械器具卸売業（16→23件）、機械器具小売業（9→17件）、繊維工業（4→15件）などで増加
- 従業員数別件数：5人未満の構成比が71.5％。10人未満の構成比は2カ月ぶりに前年同月を下回る
- 中小企業倒産件数（中小企業基本法に基づく）が、7カ月連続で構成比100.0％
産業別 製造業が2017年5月以来28カ月ぶりに100件超
2019年9月の産業別倒産件数は、10産業のうち、6産業で前年同月を上回った。
引き続き燃料費の高止まりや人手不足が懸念される運輸業は28件（前年同月比27.2％増）で、7カ月連続で増加。小売業は103件（同35.5％増）で、4カ月連続で前年同月を上回った。また、製造業103件（前年同月比60.9％増）は3カ月ぶり、サービス業他213件（同8.6％増）、不動産業14件（同100.0％増）、農・林・漁・鉱業9件（同200.0％増）は2カ月ぶりに、それぞれ前年同期を上回った。
一方、卸売業95件（同7.7％減）、情報通信業20件（同37.5％減）、金融・保険業1件（同50.0％減）、は4カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。
建設業は前年同月と同数の116件だった。
2019年10月の消費増税を前に、飲食料品卸売業（23→21件）は4カ月ぶりに減少したが、飲食料品小売業（23→27件）は6カ月連続で前年同月を上回った。
地区別 9地区のうち7地区で前年同月を上回る
2019年9月の地区別件数は、9地区のうち、7地区で前年同月を上回った。
関東が268件（前年同月比0.7％増）で、4カ月連続で増加。近畿は170件（同33.8％増）で3カ月連続、東北43件（同79.1％増）、中部91件（同7.0％増）、中国27件（同8.0％増）、四国15件（同15.3％増）、九州62件（同37.7％増）は2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。一方、北陸は15件（同21.0％減）で6カ月ぶり、北海道は11件（同35.2％減）で2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。増加率が最大の東北は、建設業（4→13件）、飲食業を含むサービス業他（6→12件）、小売業（3→6件）などが増加。
※地区の範囲は以下に定義している。
- 東北（青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島）
- 関東（茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨）
- 中部（長野、岐阜、静岡、愛知、三重）
- 北陸（富山、石川、福井）
- 近畿（滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山）
- 中国（広島、岡山、山口、鳥取、島根）
- 四国（香川、徳島、愛媛、高知）
- 九州（福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄）
当月の主な倒産
[負債額上位5社]
上海国際（株）／東京都／貿易仲介／200億円／民事再生法 ヒロセ電子システム（株）／東京都／医療機器・産業機器製造ほか／62億2,400万円／取引停止処分 （株）マルコス／東京都／コンタクトレンズ・ヘアケア用品卸／53億7,900万円／破産 （株）サンリット産業／大阪府／ユニフォーム製造卸／32億円／破産 アールズ（株）／宮城県／飲食事業、クリーニング業他／31億8,000万円／破産
