京成電鉄の廃止駅、旧博物館動物園駅でスペイン作家2人の作品展

2004年に廃止した、京成線の駅―――博物館動物園駅。

この旧博物館動物園駅で、10月18日~11月17日の金土日曜・祝日 10~17時、「想起の力で未来を:メタル・サイレンス 2019」を開催する。

同展は、スペイン出身の作家 クリスティーナ・ルカスとフェルナンド・サンチェス・カスティーリョの2名による作品展。

クリスティーナ・ルカスは、全6時間を超える3面映像インスタレーションの大作≪Unending Lightning(終わりえぬ閃光)≫を展示。スペイン・ゲルニカの悲劇に発想源を置き、空爆の開始から現在に至る世界の市民の犠牲者をたどる空爆地図を表現。この旧博物館動物園駅の持つ歴史とメッセージ性が重なり合う作品展示に。

また、フェルナンド・サンチェス・カスティーリョは、上野公園の多種多様な豊かな樹木にちなんだ、「折れそうになっても生存し続ける」ブロンズ製の木の新作≪Tutor(テューター)≫を展示する。

両作品を合わせた今回の展示タイトル「メタル・サイレンス2019」は、人類史を声なき者の視線で再構成するクリスティーナ・ルカスの作品≪Unending Lightning≫の中で触れられる「死を導く鋼鉄の兵器」、そして植物という言葉を持たない樹木≪Tutor≫の沈黙を表現できる芸術の素材としてのブロンズ、という金属の二面性も表している。

旧博物館動物園駅は、京成電鉄の駅として1933年に開業。当時、駅舎の建設予定地が御料地であったため、御前会議での昭和天皇の勅裁を受けて建設され、駅舎内外の意匠は西洋風の荘厳なつくりに。

開業以後、東京帝室博物館(現・東京国立博物館)や恩賜上野動物園の最寄り駅として親しまれ、利用者の減少により1997年に営業休止、2004年に廃止に。

その後、景観上重要な歴史的価値をもつ建造物として鉄道施設としては初めて「東京都選定歴史的建造物」に選定(2018年4月19日)。2017年6月に京成電鉄と東京藝術大学との間で連携協定が結ばれ、駅舎内部を改修し一般公開(イベント時以外非公開)へ。

東京藝術大学 美術学部長で UENOYES 総合プロデューサーの日比野克彦がデザインした出入口扉を新設し、上野文化の杜の2018年度事業の一環としてアート作品の展示などが行われている。

写真 記事:鉄道チャンネル編集部

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