日経平均に中長期トレンド転換シグナル点灯、この先どうなる?

日経平均株価の日足チャートで、中長期的な強気シグナルが点灯しました。9月26日に、上向きの75日移動平均線が上向きの200日移動平均線を下から上に交差したのです。

これは、移動平均線を使ったテクニカル分析の中では「ゴールデンクロス」と呼ばれるもので、強気シグナル指標として使われています。この先、日本株市場はどんなシナリオを歩みそうなのか。過去のケースを参考にして、探ってみたいと思います。


過去39年で11回のゴールデンクロス

1980年からの約39年間では11回のシグナルが発生し、10%以上の上昇は8回ありました。

1回目は、1982年2月3日に75日移動平均線と200日移動平均線がゴールデンクロスを達成した後、その後の高値は1983年1月8日終値の8,210.02円となりました。266営業日で4.44%と、最も低い上昇率となったうえに、マイナスに転じる場面も見られました。

2回目は、1982年11月18日。その後の高値は1984年5月4日終値の1万1,190.17円と、128営業日で43.73%と大きく上昇しました。

第3回は、1984年10月5日です。その後の高値は1986年8月20日終値の1万8,936.24円と、533営業日で76.35%と最大の上昇となりました。

1987年10月のブラックマンデー以降の局面となる第4回は、1988年4月4日にゴールデンクロスが達成されましたが、その後の高値は1989年12月29日終値の3万8,915.87円。453営業日で47.77%と、大きく上昇しました。

バブル崩壊後の横ばい相場でも示現

1989年12月29日の史上最高値を付けた後、1992年8月18日安値1万4,309.41円に至るまで、200日移動平均線が上向きになった局面はほとんどなく、1992年8月19日の安値以降の横ばい相場において2度のゴールデンクロスが確認されています。

5回目となる1994年4月19日にゴールデンクロスが達成されたものの、上昇率は6.74%にとどまりました。6回目は1999年4月15日。その後はネットバブルの高値2000年4月12日まで上昇し、24.55%の上昇率となりました。

2000年以降では、2003年7月23日にゴールデンクロスが達成されました。大手銀行の再編や厚生年金の代行返上に伴う売りなどが一巡した段階での強気シグナル発生となりました。

2006年11月13日のゴールデンクロスは、2006年1月のライブドアショックによる下落局面が一巡した後で到来しました。その後は、2007年8月のサブプライムショック(サブプライムローンの不良債権化)直前まで継続しました。

今回のゴールデンクロスはどうなる?

2012年12月の第46回衆議院選挙によって、自民党は改選前の118議席から294議席と圧勝し、2012年12月26日に第2次安倍内閣が組閣されており、その前日となる2012年12月25日にゴールデンクロスが達成されています。その後は、海外投資家の実需買いで55.03%の大幅上昇となりました。

2014年8月13日にもゴールデンクロスが出現しました。この時は、4月に消費税が5%から8%に増税され、10月半ばにかけて下落する場面も見られましたが、日本銀行が7月に追加の金融緩和(年間3.3兆円のETFなどリスク商品の買い入れ総額を6兆円に増額)を実施したことで相場が上昇トレンドに転換し、2015年6月まで上昇が継続しました。

2019年9月26日にゴールデンクロスが実現しましたが、2014年の局面のように消費税の増税が実施された点では良く似ていると思われます。今後、消費増税による消費の落ち込みに対する予防的な措置として、日銀の追加的な金融緩和や政府による財政出動によって景気の腰折れを防止する政策が打ち出されることが期待されそうです。

1982年2月以降の局面における平均上昇率34%を、2019年9月26日終値の2万2,048.24円に上乗せした大きな上昇相場となるかが注目されそうです。

<文:投資情報部 高橋幸洋>

© 株式会社マネーフォワード