増税から1週間

 クイズのようでもある。外食の店で、店内の飲食だと消費税率は10%、持ち帰りだと8%になった。どっちにするかと尋ねられたら、お客さんはどうするか?▲増税後の今の傾向は大方こうらしい。「店内での飲食を申告するお客さんはほぼいない」。店員がわざわざ尋ねる義務もなければ、持ち帰るのかここで食べるか、客が申告しなくても罰則はない。特に何も言わず税率8%で買い、店で食べる客が多いのだという▲店員は聞かず、客は答えないのだから特に混乱はないのだろうが、税率が正しく当てはめられてはいない。どこかおかしい▲混乱や“分かりにくさ”ならば、まだある。軽減税率とポイント還元で、消費者の実質的な負担税率は実に5種類ある。最も低いのは中小の店で飲食料品を買う場合で、実質的には3%…といろいろあるが、実は当方もそらでは言えない▲遅滞なのだろう。キャッシュレス決済の一つを始めるのを「延期します」というスーパーの表示も見た。大混乱とは言わないが、小さな不明点、遅れ、困惑は増税から1週間、まだ収まらない▲10月初め「複雑税率の時代に突入」と本紙にあったが、あながち大げさでもないのだろう。当方もその一人だが「あなた、付いてこられます?」と試されるような心地でいる方も少なくあるまい。(徹)

© 株式会社長崎新聞社