日韓研究機関が意見交換 地域活性化策を考える 長崎で協議会総会

人口問題と地域活性化について意見交換する日韓の研究員=長崎市茂里町、長崎ブリックホール

 北部九州と韓国南部のシンクタンクでつくる日韓海峡圏研究機関協議会は8日、長崎市内で総会と研究報告会を開き、「人口問題と地域活性化」をテーマに意見を交わした。
 同協議会は、日韓知事サミットの合意を受け1994年に発足し、総会は毎年巡回開催している。本県では2009年以来3回目で、長崎経済研究所(長崎市)が主催。韓国側5機関15人、日本側5機関22人が出席し、3人ずつが登壇し報告した。
 このうち九州経済調査協会(福岡市)の渡辺隼矢(じゅんや)研究員は、人口約5万4千人の宮崎県日南市がIT系13社のサテライトオフィスを誘致し100人以上の雇用を創出した事例を紹介。「企業にとっては、大都市に比べ同業他社への転職リスクが低く、従業員教育に注力できるのがメリット。日南市は対応の早さに定評があり、進出希望の連絡を受けてから平均約1カ月で現地視察を実現し、約2カ月で進出が確定している」と説明した。
 同市が人材の量と質の確保を重視し、競合企業や有名企業からの打診を断って進出企業の信頼を得た点も評価した。韓国の研究員は「行政の決定には時間がかかるものだが、日南市のスピードは魅力的だ」と感想を述べた。
 終了後、慶南研究院(キョンナンヨングウォン)(韓国慶尚南道(キョンサンナムド))の洪在佑(ホンジェウ)院長は取材に対し「厳しい韓日関係下であっても、研究交流や対話は継続すべき。どの地域の機関もそう判断し参加したようだ。問題を共有でき、成功事例も失敗事例も互いに参考になる」と意義を述べた。

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