【主張】氷河期世代雇用へ総力戦

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物流業の山九㈱(東京都、中村公大社長)が、「就職氷河期世代」に限定した中途採用を開始し、今後3年間で300人を「限定正社員」として雇用する計画という(本紙9月16日号3面既報)。

人手不足とはいえ、40歳代にもなる氷河期世代の大規模採用計画には企業としてのリスクも想定されるが、それを乗り越えて戦力化しようとする試みは頭が下がる。しかし、氷河期世代がこのまま引退期を迎えると、大きな社会的負担となり将来に禍根を残す。同社をリーディングケースとし、多くの企業が氷河期世代の重点的採用を急ぐべきである。

近年、雇用情勢が大きく改善し新卒など若者の採用活動が活発化している一方、厚生労働省の統計では150万人を超えるフリーターがいるとされている。そのうち氷河期世代の35~44歳層は約50万人に達する。不運にもバブル崩壊後の就職難に直面せざるを得なかった氷河期世代を、社会としてこのまま置き去りにはできない。

同社は、ミスマッチを防ぐために、通常の選考方法に加えて数日間の実務体験を課すほか、採用後に同社の能力開発センターで研修し、何らかの資格が必要なら同社負担で取得させるなど手厚い支援策を用意している。すでに山口県の同社支店では、実際に求人票をハローワークに提出済みという。背景に人手不足の深刻化があるとはいえ、本紙として積極的に支持したい。

厚労省は令和2年度、関連予算を含めると総額1300億円以上を計上し、様ざまなメニューを提示して氷河期世代の就職支援を展開するとしている。それぞれの企業で自社に適合した支援策を吟味し活用していくべきである。

来年度を待たずに今年8月から実施しているのが、氷河期世代に限定した求人窓口の開設である。求人には原則として年齢制限を付すことはできないが、氷河期世代で正社員の機会に恵まれなかった者を対象とした申込みを可能としたという。

様ざまな方法を用いてでも氷河期世代を安定雇用に導いていくことは、企業・産業界全体の責任と訴えたい。