「100均」「フリマアプリ」人気が示す、女性の「お得さ」志向

博報堂生活総合研究所は今年、「消費」をテーマに研究を行いました。この連載では、全国の15~69歳の男女1万人を対象に実施した「消費1万人調査」と、生活者から直接話をうかがったデプスインタビューの内容を中心に、生活者の間に生まれつつある新しい消費観・消費行動について解説していきます。

「消費1万人調査」のなかで、平成に登場した商品・サービス・政策・流行などを生活者に提示し「自身の買い物や消費、お金のやりくりに対する考え方・行動に大きな影響を与えたと思う」ものを回答してもらったところ、様々なことがみえてきました。


平成の消費を変えたのは、ネットとディスカウント

まずは、15~69歳の男女1万人全体での結果を見てみましょう。 1位「携帯電話・スマートフォン」、2位「インターネット通販」、3位「パソコン」と、インターネット関連の商品・サービスが上位を独占。4位以下をみても、6位「電子マネー」や9位「SNS」がランクインしています。

「いつでもどこでも買える」インターネットの登場で利便性が高まったことに加え、特にスマートフォン・SNSの登場により「商品の情報が得やすくなった、比較しやすくなった」ことで、買うものや買い方の選択肢が広がったことが大きいようです。

またほかに、ディスカウントショップや商品も多くランクインしています。4位「100円均一ショップ」、7位「ファストファッション」、10位「PB(プライベートブランド)」です。90年代後半に登場したこれらのお店・商品が、特に消耗品の相場を大きく引き下げたことで、多くの票を集めたのではないでしょうか。

男性は便利、女性はお得に関するものが上位

続いて、男女別の結果も見てみます。男性では、2位「パソコン」に加え、6位「コンビニエンスストア」(女性より+4.5ポイント)の割合が高くなりました。「いつでも・どこでも買い物ができる」というように、買い物の利便性を高めたものを挙げた人が多いようです。

一方女性は、2位「100円均一ショップ」、6位「ファストファッション」に加え、「フリマアプリ(男性21位:10.9%、女性12位:18.7%)」も男性より7.8ポイント高くなりました。安価なだけでなく、思わぬ掘り出し物に出会える「お得さ」に票が集まっています。
加えて特徴的なのは、4位の「断捨離」です。自由回答では「断捨離を知ってから、本当にほしいものだけを買うようになった」といった声が聞かれました。なお、断捨離は全体でも5位にあがっており、次回(第2回)の記事で詳しく触れたいと思います。

若年層はスマホ、中高年層は社会・経済が上位

では最後に、年代別の結果です。ここでは最も違いの大きかった10代と60代の結果を取り上げます。

ご覧の通り、色がついている項目が半分以上と、年代差は男女差以上に大きいことがわかります。10代では「SNS」「電子マネー」などスマホ周りの事象が多くあがりました。一方60代では「年金制度の改正」「バブル崩壊」「阪神・淡路大震災、東日本大震災」など社会・経済周りの事象があがっており、消費に対するネガティブな影響を訴える声も多くなっています。

なお10代では「音楽・動画などの無料サービス」があがっていますが、この世代はこうしたサービスが幼い頃から身の回りにあったことで、「無料が前提」という価値観が生まれていることがうかがえます。ほかにも、「フリマアプリ」「インフルエンサー」もランクインしており、「使わなくなったら売ればいい」といつか手放すつもりで買ったり、実際に商品を使って試しているインフルエンサーの投稿を参考にして買うことも多いようです。
幼い頃から様々な消費関連の新しいサービスに触れている若年層は、これまでにない新しい消費観を持ち始めていることがわかる結果です。

【調査概要】
・消費1万人調査
調査地域:全国
調査対象:15~69歳の男女
調査人数:10,000人(国勢調査に基づき性年代・エリアの人口構成比で割付)
調査手法:インターネット調査
調査期間:2019年5月28日~6月1日

© 株式会社マネーフォワード