新技術導入 最高賞に田中さん親子「10年先見据え挑戦」 ながさき農林業大賞 ミニトマトをハウス栽培

色付き始めたミニトマトに笑顔を見せる田中一喜さん(左)と将太さん=雲仙市千々石町

 地域特性を生かした先進的な取り組みで成果を上げている農林業者を表彰する本年度の「ながさき農林業大賞」で、雲仙市千々石町のミニトマト農家、田中一喜さん(66)と将太さん(37)親子が最高賞に当たる農林水産大臣賞・知事賞を受賞した。
 田中さん一家は、ジャガイモやミカンを育ててきたが約30年前にミニトマトのハウス栽培に着手。一喜さんは、家族経営が主だった地域の農家仲間とともに共同選果体制を確立させ、作業の分担、負担軽減を率先して進めた。
 長男の将太さんは家業を継ぐため、22歳から父と一緒にミニトマトの収益拡大に取り組む。大小7棟のハウス計114アールで、温度や湿度、光量などを自動制御にして省力化を進めた。2018年に県内で初めて「ハイワイヤー栽培」を導入した。
 高さ約3メートルまでミニトマトの苗をつることで葉の密集を避け、狭い間隔で苗植えが可能になり、1アール当たりの収穫量も増加。将太さんは「農業は難しいが魅力的。技術も日々進歩している。10年先を見据えていろんなことに挑戦したい」と意気込む。一喜さんは「努力が認められたようで受賞は光栄。あとは若いもんに任せようかね」と笑った。
 ながさき農林業大賞は県やJA県中央会などでつくる運営委が開き、14回目。15部門に46の団体・個人が応募。このうち、野菜や花き、畜産など9部門で各知事賞を選定し、その中から最高賞を選んだ。

 ほか8部門の知事賞受賞者は次の通り。(敬称略)
 ▽花き=城川洋、ルミ(南島原市)▽畜産=稲本俊郎、侑紀(松浦市)▽しまの農林業経営=松崎秀利、弘子(北松小値賀町)▽産地集団=長崎南部森林組合大村支所(大村市)▽地産地消・食農=大地のめぐみ(南島原市)▽農山村地域保全=NPO法人100年の森佐世保(佐世保市)▽都市との交流=やったろうde高島(長崎市)▽農産加工=雲仙きのこ本舗(南島原市)

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