街の魅力 飾らず伝えたい 長崎・浜口フリーペーパー発行 自由な表現で発信 デザイナー・生田さん

くんちを特集した10月号(右)など、これまでに発行された「月刊大都会」

 長崎市のデザイナー生田慎吾さん(35)が、仕事の拠点にしている同市浜口町周辺の飲食街・浜口をテーマにしたフリーペーパー「月刊大都会」を発行している。飾らない街の魅力をありのままに伝えようと、仲間数人と仕事の傍ら手弁当で取材、編集。飲み屋やスナックを手当たり次第に訪れたり、街角の気になる風景にツッコミを入れたりと、どの号も個性的だ。東京でも配布しており、「見た人の中に『浜口』というキーワードが残ったらうれしい」と話す。
 「『そんなバカな!』という感じにしたかった」。意表を突くタイトル「大都会」の理由を、楽しそうに明かす。毎号、A2判1枚に一つの特集記事を掲載し、八つ折りにして配布。部数は各500部で10月号まで計7号を発行した。全号に掲載している前文では「(街の魅力を)変な味付けはせずに、豆腐は冷奴(ひややっこ)で、みたいな感じで伝えたい」とうたう。広告は掲載せず、自由な表現での発信にもこだわっている。
 創刊号(4月号)では浜口のお店31軒を半月ほどかけて“はしご”し、何げない店員との会話や出来事を、酔った勢いも交えてリポート。9月号では街で見つけたユニークな風景の写真を集め、10月号では近くの山王神社で開かれる「浦上くんち」から話を広げた。一方、8月号は浜口に残る戦時中の防空壕(ごう)跡の写真と、「8月9日は長崎にとって大切な日です-」という言葉で始まる短い文章だけを載せた静かな内容だ。
 生田さんはグラフィックデザインを中心に手掛けており、8年前に県外から古里の長崎市へ帰郷。一昨年に浜口町近くに事務所を構えて以来、街に若者を呼び込もうと近隣の若手店主らと活動している。以前、地域情報を発信するフリーペーパーに携わった経験があり、ふと発行を思い付いたという。
 一部は東京のフリーペーパー専門書店でも配布。「初めは1年間で終わろうと思っていたが、予想以上に反響があった。当面発行していきたい」とうれしそうに話す。「やる気があれば数万円くらいでできる。見た人が『自分も地域について発信したい』と思ってくれたら」と話した。
 問い合わせは月刊大都会編集部(メールアドレスmonthlybigcity@gmail.com)。

長崎市の浜口をテーマに「月刊大都会」を発行している生田さん=長崎新聞社

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