マツダ MAZDA6 2.5Lガソリンターボ 実燃費レポート

マツダ MAZDA6[SKYACTIV-G 2.5T]

燃費テスト概要

テストは9月12日(木)の午前7時過ぎに開始し、午後1時半頃帰京するスケジュールで実施。天候は終日晴れ、テスト中の最高気温は湿度が低く秋の気配を感じさせる中での28度と過ごしやすく、交通の流れは非常にスムースだった。

今回、同じハイパワースポーツワゴンで過去データのあるスバル レヴォーグ 2Lターボと比較する。

MAZDA6 2.5リッターガソリンターボの実燃費は11.6km/L

全体的にカタログ燃費に近く、2.5Lガソリンターボであることや動力性能の高さを考えれば納得できる記録となった。

しかし、レヴォーグ 2Lターボと比較すると燃費自体は同等であるが、レヴォーグの方が2Lターボながら大排気量車のようなゆとりやターボ車らしい強烈な動力性能といったアドバンテージを持つことを考えると、MAZDA6 2.5Lガソリンターボの燃費は微妙なところかもしれない。

ここからは各章において燃費だけでなくクルマの質に関しても詳細にレポートしていくので、購入を考えている人はぜひ参考にして欲しい。

マツダ MAZDA6[SKYACTIV-G 2.5T]

MAZDA6 2.5リッターガソリンターボ 実燃費レポート|市街地・街乗り編

MAZDA6 2.5リッターガソリンターボ 市街地での実燃費:9.5km/L

マツダ MAZDA6 市街地燃費

MAZDA6 2.5Lガソリンターボは市街地で9.5km/Lという、動力性能を考えれば納得できる燃費を記録した。

市街地編ではドライバビリティ(運転のしやすさ)、アイドリングストップの印象を中心にお伝えする。

まずドライバビリティに関して2.5リッターガソリンターボは、CX-5同様に最高出力230馬力・最大トルク42.8kgm(レギュラーガソリン指定)と、NAであれば4L級の大トルクを生かした"ゆとり"あるエンジンだ。

しかし、そういった性格の割には輸入車の2"ターボのような、アクセルを踏んだ直後から「太い低速トルクがモリモリと出る」という印象は残念ながらない。

とくにこだわらなければ低速トルクも十分で、他のマツダ車同様にアクセル操作に対するレスポンスも自然で運転しやすい。また6速ATは普通に乗っていると2000回転を少し超えるあたりでシフトアップされる。

アイドリングストップも他のマツダ車と同様に、停止後ブレーキペダルを踏み足すとアイドリングストップが始まるというタイプ。踏切や一時停止、止まりそうで止まらない渋滞といった場面でも不必要なアイドリングストップが起きにくく好ましい。エンジンの再始動は素早く、セルモーターの音も静かで完成度は高いのは嬉しいポイントだ。

MAZDA6には多くのグレードに停止まで対応する先行車追従型のアダプティブクルーズコントロール(以下ACC)が標準装備されている。市街地でも試してみたところ(※)、加減速はスムースで運転支援として十分使える性能を確保していることが確認できた。なおMAZDA6は電動パーキングブレーキとなっているので停止時のブレーキホールド機能も備えており、オンにすれば停止中ブレーキペダルを踏み続けなくてもいいのは有難い。

※メーカーでは高速道路での使用を推奨

マツダ MAZDA6[SKYACTIV-G 2.5T]

MAZDA6 2.5Lガソリンターボ 実燃費レポート|郊外路編

MAZDA6 2.5Lガソリンターボ 郊外路での実燃費:11.7km/L

マツダ MAZDA6 郊外燃費

MAZDA6 2.5Lガソリンターボは郊外路で11.7km/Lという、市街地同様にターボエンジンであることを加味すれば納得できる燃費を記録した。

郊外路ではマイナーチェンジによるものなのか、新しい2.5Lガソリンターボ車であるためなのか定かではないが、アテンザ時代から続くハンドリングと乗り心地の良化を若干ではあるが確認できた。

ハンドリングはステアリング操作に対しクルマが正確に動いてくれるライントレース性の高さや、ごく自然に起きるロールなどにより運転しやすい中にも楽しさがある点はアテンザ時代から変わらない。しかし最近のマツダ車に装着される、コーナーでの回答性や安定性を向上させるため状況に応じてクルマ側が僅かにアクセルを戻す制御を行う「Gベクタリングコントロール」が、MAZDA3に続きMAZDA6でも僅かなブレーキ制御も持つ「Gベクタリングコントロールプラス」に進化した為か、そのレベルは若干向上している。

乗り心地も路面の凹凸が大きいところではややブルッとした硬さを感じることがあるものの、それも19インチタイヤを履くことを考えれば十二分に許容できる範囲。全体的には路面からの衝撃を上品かつしなやかに受け止めており、快適性も高く好印象。

なおMAZDA6のガソリン車はスポーツモードも選べるので試してみた。ノーマルモードに対しスポーツモードはアクセル操作に対するレスポンスがシャープになるうえ、シフトアップのタイミングが遅めになるといったお決まりの変化を確認できた。動力性能に余裕のあるクルマなので、普通に乗っている分にはノーマルモードを選ぶのがいいだろう。

マツダ MAZDA6[SKYACTIV-G 2.5T]

MAZDA6 2.5リッターガソリンターボ 実燃費レポート|高速道路編

MAZDA6 2.5Lガソリンターボ 高速道路での実燃費:15.3km/L

マツダ MAZDA6 高速燃費

MAZDA6 2.5Lガソリンターボは高速道路で15.3km/Lという、ここでも動力性能を考えれば納得できる燃費を記録した。高速道路編ではエンジンフィールや動力性能、ACCとレーンキープアシスト(LKS)を使った印象を中心に報告する。

エンジンフィールは市街地編で書いたように、低回転域での力強さはないものの、2000回転を超えるとエンジンのコンセプト通りの「ターボによるゆとり」が感じられる。巡航中には僅かにアクセルを踏み足すだけで緩加速でき、大排気量エンジンのようである。2000~5000回転あたりまではドラマ性や爆発力のようなものこそないものの、ターボエンジンらしい迫力やパンチをそれなりに感じられ、スポーツワゴンというキャラクターに相応しい加速感をもたらしてくれる。5000回転以上はエンジンの性格もあり普通に回るという印象で、シフトアップのタイミングはDレンジ、パドルシフトともに5500回転といったところだ。

なおトップギアとなる6速での100km/h走行時のエンジン回転数は2100回転と、他の2~2.5L級のマツダのガソリン車に比べると100回転ほど高い。これはMAZDA6 2.5Lガソリンターボのファイナルギア(最終減速比)が僅かながら加速重視となっているためだ。特に不満や問題はないが、ガソリンターボのようなエンジンが出てくるとマツダのATも加速力や巡航中の燃費と静粛性の向上のため、そろそろ6速から7速、8速といった多段化あってもいいように感じる。また6速に入るタイミングはDレンジ、パドルシフトともに80km/hあたりと、ややシフトアップを引っ張り気味なところはある。

高速道路でACCとLKSを使った印象は、ACCは四段階から選べる車間距離が適切かつ先行車に対する加減速も非常にスムースで、長距離ドライブでは積極的に使いたくなる高い完成度を備える。LKSも効きを強にするとハンドルを保舵しながらの直進のキープはなかなかで、首都高速の緩いコーナーにも対応するなど、こちらも地味ながら有難い運転支援なのが確認できた。

マツダ MAZDA6[SKYACTIV-G 2.5T]

MAZDA6 2.5リッターガソリンターボ 実燃費レポート|総合実燃費

MAZDA6 2.5Lガソリンターボ 高速道路での実燃費:11.6km/L

マツダ MAZDA6 総合燃費

MAZDA6は2012年登場と新しいクルマではないものの、度重なる改良により古さをまったく感じない点と、丹念にクルマを育てているマツダの姿勢を高く評価したい。

しかしターボモデルの追加などバリエーションが増えたことは歓迎したい反面、その商品性には大きな疑問を持った。

というのもMAZDA6の2.5Lガソリンターボの価格は約430万円であるが、この価格はツインターボで排ガス処理システムのコストも高い2.2Lディーゼルターボの最上級グレードより約25万円も高いのである。その割にはクルマのスポーツ性がそれほど高い訳でもなく、2.2Lディーゼルなら動力性能の高さに加え劇的に燃料コストも安く、その上MTも選べるのでそちらでの運転の楽しさもある。

総合するとガソリンターボとディーゼルターボがほぼ同価格だったCX-5以上に「MAZDA6の2.5リッターガソリンターボは選ぶ理由が浮かばない」というのが筆者の率直な結論だ。

[筆者:永田 恵一/撮影:MOTA編集部・永田 恵一]

マツダ MAZDA6[SKYACTIV-G 2.5T]

試乗ルート

ルート1「市街地」

燃費レポート<市街地・街乗り編の主なコース>

千葉県市原市の国道16号線から国道357号線、途中から片側1車線になる国道14号線、都県境から蔵前橋通りを経由し、MOTA編集部に戻るルート。スムースに流れることは少なく、渋滞路が多くを占める区間だ。 平均時速は15~20キロ程度と遅い。道のりは約55km。

ルート2「郊外路」

燃費レポート<郊外路編の主なコース>

茂原長南インターを降り、国道409号線を西に進み、交差する国道297号線を北上し、東京湾に近い千葉県市原市内の国道16号線まで向かうルート。 道路にアップダウンは少なく信号があまりない上に走行中の流れも良く、好燃費が期待できる区間と言える。道のりは約30km。

ルート3「高速道路」

燃費レポート<高速道路編の主なコース>

首都高速都心環状線芝公園ランプから首都高湾岸線を経由し、東京湾アクアラインから最近開通した圏央道の茂原長南インターに向かうというルート。 道路にアップダウンは少なく、流れは区間全体を通しおおよそ80km/h程度。道のりは約70km。

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