是枝裕和監督「真実」11日公開  仏で撮影、母と娘の愛憎軽やかに

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映画「真実」より、ファビエンヌ(カトリーヌ・ドヌーブ、左)と娘のリュミール(ジュリエット・ビノシュ)(L.Champoussin(C)3B-分福-Mi Movies-FR3)
自身初の国際共同製作となった映画「真実」について語る是枝裕和監督=福岡市

 「万引き家族」でカンヌ国際映画祭最高賞パルムドールを受賞した是枝裕和監督の新作映画「真実」が11日、公開される。フランスで全編撮影、カトリーヌ・ドヌーブ演じる大女優の母と娘の愛憎を軽やかに描く。9月30日、福岡市で取材に応じた是枝監督は「パリの秋空のように、すがすがしい気持ちになれる作品を目指した」と語った。

 物語は国民的大女優ファビエンヌ(ドヌーブ)が、自伝本「真実」を出版することから始まる。女優を諦め米ニューヨークで脚本家として働く娘のリュミール(ジュリエット・ビノシュ)は、「お祝い」を名目に家族と共に母を訪ねるが、真の目的は本の中身を確かめることだった-。

 2011年、ビノシュと対談した是枝監督が「いつか一緒に映画を」と約束。この企画が芽生えた。老女優の晩年を描いた未完成の戯曲を大幅に書き変え脚本化。「映っているだけで映画になる存在感がある」(是枝監督)ドヌーブに、自ら出演交渉した。

 「『演じるって何だろうな』というところから書き始め、娘が母との関係性を見直すきっかけを持って帰るような着地点を目指してみようと思った」

 事実と違う自伝をめぐり衝突する母と娘。だが、娘は母の新作の撮影現場に同行し共に時間を過ごすうちに、徐々に母の“真実”に触れるようになる。

 「虚偽と真実ははっきりと色分けできるものではない。自伝がうそであっても、それをファビエンヌが望んでいたのであれば、真実だといえる」と解説する是枝監督。「表面に見えるものと隠れているものが折り重なっているのが人生、だよね」

 主な舞台となるファビエンヌの自宅は、パリ市内の一軒家。秋から初冬に向かう美しい風景も見どころだ。キャストやスタッフはほぼ全員がフランス人。言葉や文化の違いを抱えての撮影だったが、「ミスコミュニケーション(誤解)はなかった」という。

 唯一驚いたのは、1日8時間・週休2日の撮影スケジュールが徹底していること。「僕はもっとやりたい気持ちがあったけど、子育て中のスタッフも帰宅後に晩ご飯が作れる。日本も学んだ方がいいね」(平澤碧惟)

 ■熊本県内はTOHOシネマズ4館で上映。

(2019年10月10日付 熊本日日新聞朝刊掲載)