バスもケーブルカーも乗りたくない!電車を降りてスグ登れる「駅近登山」始めました 現在の登山は車で登山口まで行くのが主流ですが、鉄道で山へ行くのもいいもの。でも、駅から登山口まで混雑したバスに乗ったり、延々と車道を歩いたりと、できれば避けたいものですね。そんな方々のために、駅から徒歩10分以内で登山口までたどり着ける「優良物件の山」を集めました。そんな、「駅近登山」、実は、貴重な存在って知ってました?

山道の運転は怖い…でもバスはイヤっ!

(山道のイメージ画像)

「山へ行きたいけど、車を持っていない」
「山道の運転が怖いから車で行きたくない」

「駅から登山口まで混雑したバスを乗り継ぐのはちょっと…」
「延々と車道を歩いて登山口に辿り着いたりはイヤっ」

でも山には行きたい!!!!
これってわがままですか…?でも、そんな時ってありませんか?

そんなアタナに!
駅から登山口まで徒歩10分以内。電車を降りてスグ登山ができる「駅近登山」はいかがですか?

「駅から10分」はどれぐらいの距離?

よく不動産の広告で「駅から10分」の表示ってありますよね。これって一体どのくらいの距離なのでしょうか?

一般的に、人の歩行速度は、分速80mと言われています。そのため徒歩10分は距離にして約800m。山登りをする人は歩く速度が少し速いと仮定し、10分で歩ける距離は約1,000mとします。

今回ご紹介する登山口は、駅から10分、駅から1,000m以内を目安にしています。もちろん、交差点や坂道など、様々な要因はあると思いますが、あくまでも目安という事でご容赦を。

__《今回紹介する「駅近」の基準》
__・最寄り駅から登山口とされている場所まで10分(駅から約1,000m以内)
・登山口までロープウェイ、ケーブルカーは使わない

【駅から約4分】お手頃ミニ縦走「高水三山」

  • 標高: 759m(高水山)
  • 所在地: 東京都青梅市・西多摩郡奥多摩町
  • 最高気温(8月): 25.3℃(高水山)
  • 最低気温(8月): 17.7℃(高水山)

最初は、今回ご紹介する山の中で、都心から一番近い高水三山(たかみずさんざん)から。
惣岳山(そうがくさん 標高756m)・岩茸石山(いわたけいしやま 標高793m)・高水山(たかみずさん 標高759m)の三山で構成され、コンパクトな縦走が楽しめると人気です。
最近は、天皇皇后両陛下が登られた山としても脚光を浴びています。

駅近登山 おすすめコース

  • 最寄り駅: JR青梅線「御嶽駅」
  • 登山口: 惣岳山登山口
  • 登山口まで: 約4分
  • コースタイム: 4時間10分
  • コース距離: 9.5km

御嶽駅→惣岳山→岩茸石山→高水山→常福院→高源寺→軍畑駅

【惣岳山登山口位置】

御嶽駅(みたけえき)からすぐそばの「慈恩寺」の階段を上がると登山口。
一般的には軍畑駅(いくさばたえき)から登り始める登山者が多いのですが、軍畑駅の場合登山口まで40分掛かるため、今回は御嶽駅側からのコースを紹介。

(惣岳山山頂)

惣岳山の山頂は杉で囲まれて展望はありませ。しかし青渭(あおい)神社社殿の周りは、杉の香りと凛とした空気が漂い、気持ちのいい空間が広がります。

(岩茸石山山頂)

反対に、岩茸石山山頂からは奥多摩の山々が見える絶景!
岩茸石山からの稜線は清々しい山歩きが楽しめる広葉樹の林。最高峰「高水山」へ登り、大岳山(おおたけさん)を正面に見た後、下山路に点在するお寺を巡りながらJR青梅線「軍畑駅」下ります。

帰りもすぐ電車に乗りたい!という方は、御嶽駅へ戻るのもおすすめです。

【駅から約5分】奥多摩三山のひとつ「大岳山」から人気の「御岳山」

  • 標高: 1,266.5m(大岳山)
  • 所在地: 東京都西多摩郡檜原村・奥多摩町
  • 最高気温(8月): 22.9℃(大岳山)
  • 最低気温(8月): 15.2℃(大岳山)

参考:ヤマレコ
次に紹介するのは、JR青梅線の最終駅「奥多摩駅」から、大岳山(おおたけさん)と御岳山(みたけさん 標高929m)。
初心者向けから上級者向けまで多様な登山コースがあり人気で、日本二百名山及び花の百名山でもあり、奥多摩地域の名峰です。

山頂は広く、ベンチやトイレまであり、休憩に最適。大岳山から御岳山へは1時間40分ほどで、ミニ縦走が楽しめます

駅近登山おすすめコース

  • 最寄り駅: JR青梅線「奥多摩駅」
  • 登山口: 愛宕神社参道入口
  • 登山口まで: 約5分
  • コースタイム: 7時間50分
  • コース距離: 15.7km

奥多摩駅→鋸山→大岳山→綾広ノ滝→御岳山→富士峰園地→大塚山→古里駅

【愛宕神社参道入口位置】

奥多摩駅から徒歩5分の愛宕神社参道の石段からスタート。神社を抜けたところが本当の登山口です。全体的に植林の森が続きますが、鎖場やハシゴもあるので注意しましょう。
大岳山頂からは富士山も望める絶景です。

(大岳山山頂)

大岳山から御岳山方面へ下山。途中、綾広の滝やロックガーデンなどの景勝地をめぐりながら御岳山へ。

(綾広の滝)

御岳山からは、8月に可憐な花を開く、森の妖精「レンゲショウマ」の群生地「富士峰園地」を経て、JR青梅線「古里駅」へと下ります。

【駅から約9分】静かな登山道の先には絶景が「川苔山」

  • 標高: 1,363m
  • 所在地: 東京都西多摩郡奥多摩町
  • 最高気温(8月): 22.2℃
  • 最低気温(8月): 14.8℃

高水三山、大岳山・御岳山と続いたJR青梅線沿線の山。最後は多摩らしい山深い場所にあり、百尋ノ滝が有名な「川苔山(かわのりやま)」を紹介します。
奥多摩地区の山の中でも比較的登りやすいため、初心者でも安心して登ることができます。

沢や尾根が多く、たくさんの登山コースあるので、様々な登山が楽しめることが特徴で、山頂からは雲取山などがよく見えます。

駅近登山おすすめコース

  • 最寄り駅: JR青梅線「古里駅」
  • 登山口: 古里駅登山口
  • 登山口まで: 約9分
  • コースタイム: 6時間5分
  • コース距離: 13.8km

古里駅→川井駅分岐→赤杭山→曲ヶ谷北峰→川苔山→大根ノ山ノ神→鳩ノ巣駅

【古里駅登山口位置】

登山ポストがある古里駅(こりえき)から住宅地を山側へ約10分で登山口。赤杭山から赤杭尾根へ取り付くと、黙々と杉林や自然林の中を登ります。

(川苔山の杉林)

ちょっと地味ですが、人気の「百尋ノ滝」は通らないので人が少なくとにかく静か。尾根を登りあがると絶景の川苔山山頂へ。

(川苔山山頂)

下山は鳩ノ巣駅へ降りれば、駅間登山が可能です。

【駅から約9分】見どころいっぱいの低山「鋸山」

  • 標高: 329m
  • 所在地: 千葉県安房郡鋸南町・富津市
  • 最高気温(8月): 28.5℃
  • 最低気温(8月): 20.7℃

ここからは、東京を離れて、お隣、千葉県の鋸山(のこぎりやま)をご紹介します。鋸山は、海を望む山頂からの絶景、突き出た岩場からの「地獄のぞき」、昔の石切り場跡、通称「ラピュタの壁」など見どころいっぱい

低山で初心者でも気軽に登山でき、ロープウェイも運行しているので、お子様連れ登山でも安心です。

駅近登山おすすめコース

  • 最寄り駅: JR内房線「浜金谷駅」
  • 登山口: 自然歩道・車力道分岐 下部
  • 登山口まで: 約9分
  • コースタイム: 4時間
  • コース距離: 7.5km

浜金谷駅→自然歩道・車力道分岐 下部→車力道入口→東京湾を望む展望台→鋸山→東京湾を望む展望台→石切場跡→地獄のぞき→日本寺大仏→保田駅

【自然歩道・車力道分岐 下部位置】

浜金谷駅から約10分歩くと、「自然歩道・車力道分岐 下部」案内板が目印の登山口。案内板脇の階段を登り、約1.5時間で山頂です。

(東京湾を望む展望台からの絶景)

山頂からも展望は望めますが、絶景なのは山頂から下った「東京湾を望む展望」。東京湾を挟んで三浦半島を見ることができ、遠くに伊豆大島、富士山まで見える絶景です。

(石切り場跡)

少し下ると、通称「ラピュタの壁」と言われる石切り場跡。

(地獄のぞき)

そして誰もが足がすくむ「地獄のぞき」。その後も、日本一の大仏「日本寺大仏」を鑑賞すれば、あっという間に登山終了です。下山は、保田駅に下りましょう。

【駅から約8分】近畿の花の百名山「藤原岳」

  • 標高: 1,140m
  • 所在地: 三重県いなべ市・滋賀県東近江市
  • 最高気温(8月): 24.7℃
  • 最低気温(8月): 16.1℃

最後は、かなり足を伸ばして近畿の山、藤原岳(ふじわらだけ)。鈴鹿山脈の北部の名峰で、フクジュソウやセツブンソウの群生地から花の百名山にも選ばれています。
山頂からは南側が開けているため、鈴鹿山脈南部の山々を眺望できます。山頂部は台地状になっており、避難小屋もあるので昼食をとる場所には困りません。

駅近登山おすすめコース

  • 最寄り駅: 三岐鉄道三岐線「西藤原駅」
  • 登山口: 藤原岳登山口
  • 登山口まで: 約8分
  • コースタイム: 4時間55分
  • コース距離: 6.7km

西藤原駅→藤原岳登山口→藤原山荘→聖宝寺→西藤原駅

【藤原岳登山口 位置】

西藤原駅より約10分、神武神社鳥居横が登山口です。

(登山道沿いのフクジュソウ)

しばらくは森の中の登り、途中、早春であればフクシュソウやセンブツソウの群落を見ることができます。

(藤原岳山頂付近の冬)

避難小屋の「藤原山荘」から先は緩やかな台地を歩き山頂へ。この山頂一帯は、冬は真っ白な積雪と霧氷の世界になり、幻想的な世界を見せてくれます。

下りは、途中の分岐から聖宝寺方面、沢沿いの道で滝を楽しみながら、再び西藤原駅へ戻ります。

駅近登山お疲れさまでした。でもちょっと待って!

山から下りてくると、そのままの状態でも列車に乗車できます。しかし、登山している状態でいきなり列車に乗るのはNG。

__1.トレッキングポールは畳んで、先端のプロテクターを付ける。
できればポール用のキャリーケースへ入れましょう__

__2.登山靴の泥は駅や車内に持ち込まないように。
駅の外、汚れてもいい場所で泥を落としておきます。__
100均で売っているような、コンパクトなたわしを持参すると便利です。

主には以上2点でが、マナーを守って他の乗客に迷惑を掛けないように注意しましょう。

駅近登山は絶滅危惧種!?

昔はたくさんの鉄道が山奥まで通っていましたが、多くが廃線になり、山の麓に現在も鉄道駅が存在する路線は貴重な存在になりました。車道が伸びて登山口が駅から遠くなった山も。

思い立った時にすぐ楽しめる、今では貴重な「駅近登山」。他にも駅近登山を楽しめる山があったら、ぜひ教えてくださいね!

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