「真っ白な砂糖の始まりはピラミッド!?」 おなじみの真っ白な“砂糖”(上白糖)はどのように作られるのか?

 料理の味付けの基本「さ・し・す・せ・そ」の「さ」といえば砂糖。おなじみの真っ白な砂糖(上白糖)はどのように作られるのか?巨大な製糖工場に潜入すると個体→液体→個体と変身を繰り返しながら、“美白”への階段を上っていた。

美白の始まりは茶色のピラミッド!?

 愛知県でシェア70%を誇るのが「クルルマーク」で知られる伊藤忠製糖(碧南市)。巨大工場の一角に三角屋根の建物があり、砂糖の原料が保管されているという。扉を開けて驚いた。目の前に巨大な“ピラミッド”が出現。てっきり原料は「サトウキビ」かと思っていたが、工場ではサトウキビの搾り汁を煮詰めて粒々に加工した「原料糖(げんりょうとう)」が山のように積み上げられていた。主にオーストラリアからの輸入品で、この原料糖が砂糖づくりのスタートとなる。

  原料糖はショベルカーで掘り出され、ベルトコンベヤーで工場に運ばれていく。まるで採掘現場にいるような気分。この原料糖、色はかなり濃い茶色。ここからどうやって真っ白に変わるのか?

 砂糖工場でお洗濯!?

 マシンに落ちていく原料糖になぞの液体が噴き出す。大きなプロペラでかき混ぜながら原料糖の表面を洗っているという。「液体で洗ったら砂糖が溶けてしまうのでは?」そんな心配を口にすると「この液体は蜜。いわば砂糖を砂糖で洗うイメージ。砂糖の結晶は溶けずに汚れだけ落とす」という。まるで“魔法のお洗濯”である。蜜と混じりあった原料糖はおよそ50度で加熱し、今度は“もみ洗い”。するとまるで溶岩が流れているかのようなドロドロに変身。工場では「マグマ」と呼んでいた。

 個体から4つの液体へ

 マグマから砂糖だけを取り出すと、今度は「お湯」に溶かして液体に。ビーカーに移すと“ウイスキー”のような琥珀色をしている。これを「ローリカー」といい、ここから無色透明な液体へと変身する。まず、炭酸カルシウムを加え、ローリカーの不純物を吸い取る。次に役目を終えた炭酸カルシウムを20枚以上重ねたフィルターでこし取ると、色が薄くなった。これを「ブラウンリカー」といい、さらに粒状の活性炭を通り抜け「クリアリカー」に。最後は「イオン交換樹脂」という特殊なフィルターを使って、ついに無色透明な「ファインリカー」となる。でも、砂糖は個体のはず。どうやって液体を粒々にするのか?

 母なる海ですくすく!砂糖の赤ちゃん

 カギを握るのはまるで“宇宙船”のようなマシン。小窓から覗くと、中は空っぽ。ところがこの後、未知との遭遇が待っていた。

空っぽだった“宇宙船”の底から、噴き出してきたのはあの透明な「ファインリカー」。みるみるうちに半分近くまで満たされると、“シード”と呼ばれる砂糖のかけら、いわば“砂糖の赤ちゃん”を投入。なんとファインリカーを栄養分にしながらすくすく成長を始めた。2時間もすると大きさ約0.3ミリ、肉眼でも見えるほどの結晶となる。この状態の液体を「白下(しろした)」といい、ここから結晶だけを取り出すという。

向かったのは怪しげなライトが光るエリア。明かりは「ナトリウム灯」といって虫を寄せつけない効果があるんだとか。するとマシンがぐるぐる回転を始めた。

砂糖誕生!覆いつくす“白い壁”

 特別にマシンの中を見せてもらう。すると、回転するドラムの内側を何かが上ってきた。あっという間に壁一面に広がったのは、あの「白下」。次の瞬間、黄色っぽかった白下が真っ白に。高速で回転することで、白下から液体だけを分離していたのである。まるで強力な“脱水機”。壁に残ったのが、待ちに待った「砂糖」。ヘラでそぎ落していくと確かに真っ白だった。

個体、液体、また個体。普段何気なく使っている砂糖に、こんなドラマがあったなんて、砂糖工場の実力恐るべし。         【工場fan編集局】

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