家庭児童相談室の強化急務 札幌 人材確保や専門性向上課題

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 札幌市児童相談所への虐待通告件数が右肩上がりで増える中、各区役所の家庭児童相談室の体制強化が急務となっている。児相より地域に密着し、育児の悩みなどの相談に乗るため、虐待の早期発見や未然防止の役割が期待される。しかし、児相職員の増員も不可欠な中、相談室の人材を確保したり、専門性を向上させたりするための道筋は見通せていない。

 「児童相談所に加え、地域の相談拠点である区役所の体制強化が必要。児相との連携や役割分担をさらに進めたい」。9月25日の市議会代表質問で、町田隆敏副市長はこう述べた。

 市児相は、虐待通告を受けてから動く一方、各区の家庭児童相談室は、相談員3人が各区役所に常駐し、保護者から発達やいじめなど幅広く相談に乗る。虐待リスクの低い段階から家庭に関わるため、早期発見につながりやすい。相談室の機能と専門性の強化は秋元克広市長の公約でもある。

 ただ、体制強化には課題もある。相談室は、区ごとに設けられた要保護児童対策地域協議会(要対協)の事務局も担う。要対協は虐待の有無にかかわらず、支援の必要な児童について、市児相や道警、学校などと情報共有し、支援方法を協議する場。虐待防止の効果を出す上で、中心的な組織だ。相談室は、個別案件について要対協で協議するかどうかの判断もする。

 しかし、相談員3人のうち専門知識を持つ職員は保健師1人。2018年度の相談件数は、最多の白石区で574件。個別の事案について協議する要対協「個別ケース検討会議」の開催数は、最も多い東区で62回を数えるなど、相談員1人当たりの負担は重い。

 「本来なら個別ケース検討会議を多く開き、関係者で密な情報共有が必要。だが、少人数でできることは限られており、検討会議の開催を躊躇(ちゅうちょ)するようなことが起こりかねない」(市幹部)と危惧する声もある。