ダルビッシュは「球界最高の先発」 MLB公式は契約破棄を“進言”「考えたほうが…」

カブス・ダルビッシュ有【写真:Getty Images】

FAとなるかは不透明も…「彼は数か月間、球界で最高の先発投手の1人だった」

 カブスのダルビッシュ有投手は今季終了後に契約を破棄してFAとなれる「オプトアウト」の権利を持っている。来季以降、4年総額8100万ドル(約86億8400万円)の契約を残す右腕は、権利を行使しない可能性が高いと見られているが、可能性が消えたわけではない。MLB公式サイトはダルビッシュの後半戦の投球を改めて高く評価した上で「オプトアウトを考えた方がいいかもしれない」と“進言”している。

 ダルビッシュは今季、31試合先発で6勝8敗、防御率3.98、178回2/3で229奪三振を記録。前半戦は制球に苦しみ、97回を投げて111奪三振49四球で防御率5.01だったが、後半戦は81回2/3を投げて118奪三振7四球で防御率2.76。コントロールが劇的に改善し、快投を続けた。

 MLB公式サイトは「ダルビッシュがオプトアウトを考えた方がいいかもしれない理由」とのタイトルで特集を掲載。年齢的にFAとなれば厳しいこと、家族がシカゴを気に入っていることなどから、オプトアウトしない方針であると言及しつつ、一方で本人が「まだ決めていない」「まだそのことについて考えていない」と話しているとも伝えた。

 記事によると、5月31日以降に50イニング以上投げた投手143人の中で、ダルビッシュの奪三振率33.8%は5位タイ、与四球率3.8%は5位、被出塁率.240は6位という圧倒的な成績だったという。それだけに「彼は今季後半戦で素晴らしかったため、(オプトアウトを)考えてみる価値はあるだろう」というのだ。

 挙げられている大きな理由は3つ。1つ目は「彼は市場で2番目(もしくは3番目)に良い先発投手」。今オフにFAとなる投手では、今季復活したドジャースの柳賢振については耐久性を疑問視し、バムガーナー、カイケル、ハメルズについては「ネームバリューがあるが、実際の価値はそれ以下かもしれない」と指摘。その一方で、ダルビッシュについては「数か月間、球界で最高の先発投手の1人だった。先発市場でとても良い立場となるだろう」と絶賛している。

「投手不足のエンゼルスでマドン監督と再会すること」も!?

 2つ目は「シカゴの不透明さ」。すでに、ダルビッシュが信頼するジョー・マドン監督の退任は決まり、強化責任者のセオ・エプスタイン氏がチーム内に変化をもたらすと発言していることを紹介。今後のチーム方針を知る前にダルビッシュは決断しなければいけないことから、チームを去るという道を選んでもおかしくないというのだ。

 そして、3つ目は「彼が他のところで更に成功できるかもしれない」。カブスの本拠地リグレー・フィールドでのダルビッシュの成績が良くないことや、正捕手のコントレラスと組むと防御率が下がることなどを指摘。ダルビッシュがカブスを気に入っていることも認めながら、「彼が成功するのに、ここが最高の場所か疑問に思う数字がある」と言及している。

 もしFAとなれば、MLB年俸上位125選手の平均額を1年契約で提示するクオリファイング・オファーを受ける可能性が高い。しかし、規定額がダルビッシュが残す4年総額8100万ドルの年平均額よりも低いことは確実だ。さらに、クオリファイング・オファーを蹴っても、他球団が獲得した場合はドラフト指名権をカブスに譲渡しなければならず、獲得に二の足を踏む可能性がある。あらゆることを考えると、「オプトアウト」にメリットは少ないようにも思える。記事では「もしかしたら、ダルビッシュはクレイトン・カーショーやCC・サバシアのように交渉し、オプトアウトの代わりに新しい契約やトレード拒否権の延長などを手に入れるかもしれない」と推測している。

 確実なのは、この3か月でダルビッシュの価値が急回復したこと。「1年前なら、これは笑える考えだった。今でも可能性は低い。しかし、ここで言いたいことは、ダルビッシュは今季素晴らしく、市場で価値を試すという考えもあり得なくはない。考慮する理由はある」。MLB公式サイトではこう予想しつつ、「例えば、投手不足のエンゼルスでマドン監督と再会すること、多くの時間を過ごしたレンジャーズに復帰すること、有望なパドレスでオースティン・ヘッジズとバッテリーを組むこと」などの可能性も考えられるとした。大谷が所属するエンゼルスは、マドン氏を監督として迎え入れる可能性が高いと見られている。

「1年前、このようなことは全く考えられなかった。それ自体が彼が成し遂げたことである」

 チーム内の信頼を取り戻し、メジャー最上級の投手の一人であることも証明したダルビッシュ。その決断に注目が集まっている。(Full-Count編集部)

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