体験講話の無償派遣 被爆者自身も対象に 被団協が国に補償充実要請

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厚労省の担当者に対し被爆者援護などを要請する被団協の田中代表委員=東京都、参院議員会館

 日本原水爆被害者団体協議会(被団協)は10日、核兵器廃絶や被爆者援護の充実を厚生労働省や各政党に要請した。被爆者の体験を受け継ぐ「家族・交流証言者」らを国の負担で国内外に派遣している事業について、厚労省は早ければ来年度から被爆者も派遣対象に加える方針を示した。
 同事業は2018年度に開始。学校や団体から国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館(長崎市)などに講話の依頼があった場合、国が旅費などを負担し、体験継承に取り組んでいる被爆者の家族らを派遣している。同省によると18年度は約400件の利用があった。
 厚労省は被爆の実相を伝える活動を強化するため、派遣対象を被爆者にも広げる方針で、20年度の概算要求に関連予算を盛り込んだ。安倍晋三首相は8月9日、長崎で被爆者5団体と面会した際、被爆者自身の講話への支援を強化する考えを伝えていた。
 被団協の要請活動には約70人が参加。国家補償実現や被爆2世実態調査の実施などを要請したが、具体的な回答はなかった。田中熙巳代表委員(87)は「物足りない。もっと踏み込んだ議論をしたい」と不満を示した。