台風19号に備え 農家は収穫前倒し

「小松コスモスまつり」の会場では約50万株のコスモスが見頃を迎えたが、台風19号でまつりは中止になった=相模原市緑区

 相模原・県央地域でも、台風19号の接近に備える動きが広がっている。9月の台風15号を教訓に、農業被害が出た伊勢原市は農家に注意を喚起。この3連休に予定されていたイベントも相次いで中止になった。ただ台風15号以上の風雨に襲われる可能性が高まっており、関係者は不安を募らせている。

 伊勢原市下平間で農業を営む市園芸協会の副会長(44)はピーマン、インゲン、露地栽培のナスの収穫を前倒しした。それでも「ピーマンは全部倒れるかもしれないが、仕方ない」とため息をつく。

 首都圏を直撃した台風15号で、ビニールハウスが壊れるなど計47件の農業被害が市内で確認された。副会長の畑でもパイプハウス3棟が倒壊。副会長は「自治体や国は、農家が復興するためのプロセスをどう考えているのか」と疑問を投げ掛け、「国の支援が行き届いてくれればいい」と祈るように話した。

 秋の行楽シーズンを迎え、12、13の両日にイベントを予定していた主催者や自治体も、中止の判断を余儀なくされた。

 相模原市緑区で12、13の両日に行われる予定だった「小松コスモスまつり」は、来場者の安全を考慮して中止に。既にコスモス約50万株が満開だけに、関係者は「強風でほとんどのコスモスは倒れてしまうだろう」と肩を落とした。また12日の「市戦没者合同慰霊祭」も開催が見送られた。

 海老名市では、主催する実行委員会などが12日の「えびな盆踊りフェスティバル」の中止を決めた。東京五輪・パラリンピックの機運を盛り上げるため、「東京五輪音頭-2020-」が披露される予定だった。発光ダイオード(LED)電球を使ったランタン計150個を空に飛ばす企画は、他のイベントでの活用を模索する。

 そのほか、大和市では厚木基地爆音防止期成同盟などが大和駅前で行う12日のピース・フェスティバルが、座間市では13日の「ひまわりフェスタ」がそれぞれ中止となった。

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