輸入車SUV、400万円で自腹切っても買いたいモデルは!? 自動車マニアに聞いてみた

(手前左)ボルボ XC40 T4 モメンタム(FF)/(右)ボルボ XC60 D4 AWD インスクリプション(4WD)/(奥)ボルボ XC90 T6 AWD インスクリプション(4WD)

各メーカーの主力が競う中、あえてセレクトした2台

もちろん、日本に導入されている輸入車クロスオーバーSUVはどれも魅力的だが、その中でも筆者・山本シンヤが「自分で買ってもいいかも!!」と思えるモデルを2台紹介したいと思う。ただし、今回は誰もが納得の性能を備えるジャーマン勢をあえて外した中でのセレクトとさせてもらった。

オススメ1:カーオブザイヤー2年連続受賞、ボルボ XC40

第39回 2018 – 2019 日本カー・オブ・ザ・イヤー 10ベストカーにノミネートしたボルボ XC40

あえて選びたくなる”小さなボルボ”

まず、1台目はボルボ「XC40」である。ボルボのクロスオーバーSUVラインナップの末っ子であり、今年で生産終了が発表されたハッチバック「V40」の役目も担うモデルだ。ボルボのクロスオーバーSUVは単なる大中小と言ったサイズの差ではなく、各々に独自の個性を備えるのが特長となっており、XC40にはあえて小さなボルボを選びたくなる魅力が満載だ。

走りに価格、バランスがよく適度にポップ

ボルボ XC40 T4 AWD Inscription ボディカラー:デニムブルーメタリック

筆者は新世代のパワートレイン(Drive -E)&プラットフォーム(CMA)による走りの実力、鉄壁の安全支援システムはもちろん、プレミアムだが兄貴分のXC90/XC60とは異なる「ポップ&カジュアル」なイメージと、パーソナルユースに割り切った前席優先のパッケージ、そして400万円を切るスターティングプライスなどを高く評価している。

パワートレインは直4の2Lターボ+8速ATの組み合わせのみだが、2タイプの出力特性(T5:252ps、T4:190ps)を用意。AWDが基本だが、T4のみFFが選択可能となっている。XC60/XC90には用意されるディーゼルの設定がないのは同クラスのライバルと比べると辛い所ではあるものの、近々プラグインハイブリッドが追加されると言う噂も…。

自分好みのセレクトができ、”待ってでも欲しい”1台に

ちなみに販売の主力グレードは豪華仕様の「インスクリプション」だが、スポーティな「Rデザイン」、そして品の良いポップ&カジュアルな「モメンタム」と、グレードと言うよりもキャラクターと言ったほうがふさわしいモデル展開となっているのも特徴で、単純に高い安いが良い悪いに繋がっていないのである。

またXC40はボルボ・カー・ジャパンの計画を大きく上回る受注台数で、現在もバックオーダーを数多く抱えている状況だが、途中キャンセルはほとんどないと言う。つまり「待ってでも欲しい」魅力がXC40には備わっていることを意味している。輸入車業界では画期的な5年保証やアクティブローン/スマボ(ボルボの定額サービス)などニーズに合わせた様々なファイナンスプログラムも用意されているので、国産車からの乗り換えのハードルも少ないだろう。

オススメ2:乗り心地は”魔法の絨毯”、シトロエン C5エアクロスSUV

シトロエン C5エアクロスSUV

独特のクセがあるシトロエン車

さて、もう1台のオススメSUVがシトロエン「C5エアクロスSUV」だ。これは現在シトロエンの最新フラッグシップとなっているモデルでもある。日本では最新モデルであっても「シトロエン=マニア限定」と言うイメージがあり、正直筆者も乗るまではそう思っていたが、乗ってみたらビックリ!!

「痘痕(あばた)もエクボ」ではなく、普通の人に普通に勧められる初めてのシトロエンなのだ。と言っても、周りに迎合して薄味になったのではなく、シトロエンの味は濃いまま…だ。

こだわり抜いたシートの快適性

シトロエン C5エアクロスSUV

C5エアクロスSUVのスタイルは、C4カクタスからスタートした新シトロエンのデザインアイデンティティを踏襲。昔のように「嫌いな人は結構」と言う唯我独尊ではないが、ダブルシェブロンのエンブレムを強調した2段のフロントグリルをはじめとする各部のデザインは十分個性的。インテリアもデザインは凝っているものの、機能性も決して悪くない。

プジョーと共用する基本素性の優れる新世代「EMP2」プラットフォームに加え、次世代ハイドロニューマチックと言われるサスペンション技術「プログレッシブ・ハイドローリック・クッション(PHC)」と高密度フォームを使った新開発シートが相まって、一般道では動きは大きく独特のフワーッとした不思議な乗り味だが、速度が上がるにつれてビシーッと安定。ビックリなのがワインディングで、内輪を上手に使っている印象で面白いようにグイグイとノーズをインに向けるのだ。実はPHCの考え方はルノー・メガーヌRSにも採用と聞いて納得。

エンジンは文句なし、トレンディーな1台

シトロエン C5エアクロスSUV

パワートレインは177PS/400Nmを発揮する2Lディーゼルターボ+8速ATの組み合わせ。日本ではあまり知られていないがPSAのディーゼルはスムーズさ、滑らかなトルク特性、スムーズな吹け上がりは同クラスのエンジン中ではトップクラスの実力だ。

ひとつ残念なのは、AWDの設定がなく全車FFのみであること。ただ、今後モーターを活用した電動AWDが追加されると言う噂も聞く。

このように最新のトレンドとシトロエンらしいマニアックな面をバランス良く盛り込んだC5エアクロスSUV、ディーラー網が少ないのが難点だが、保証関連も充実(延長保証サービスに加入すると5年)しているので昔のように泥沼(!?)にハマる心配もなし。是非ショッピングリストに入れて欲しい1台である。

[筆者:山本 シンヤ]

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