あの『イージー★ライダー』製作50周年にあたる本年、1988年以来31年ぶりの公開が決定したデニス・ホッパー監督の第2作『ラストムービー』(12月20日より新宿シネマカリテほか公開)の予告編、メインビジュアルが完成した。
インディペンデント映画史上空前の興行収入を叩き出した初監督作『イージー★ライダー』(1969年)でカンヌ映画祭・新人監督賞受賞、アカデミー賞の脚本賞にもノミネートされ、一躍時代の寵児となったデニス・ホッパーが、最終編集権を含む完全なクリエイティヴの自由を得て念願の企画を映画化した渾身の監督第2作が本作『ラストムービー』だ。
このたび解禁された予告編には、冒頭にストーリーが説明された後に、馬に乗りテンガロンハットを被ったデニス・ホッパー演じるカンザスの姿が映し出される。
続けて、映像は西部劇の撮影風景に移るが、そこで監督役を演じているのは、本物の映画監督であり、ホッパーの友人であったサミュエル・フラーである。その撮影を見ていた村人が、撃たれて屋根から落ち死んだ演技をしている男を、本当に死んでしまったと動揺している姿、赤い車の後部にくくりつけられている血だらけ男など、次第に村が不穏な空気に包まれていく様が描かれる。
そして、遂に村人たちが“映画”の真似を始めて、藁のような草で作ったカメラで撮影を始める。カンザスは、その村人たちの作る映画『ラストムービー』の主役に抜擢され、演技と本当の境目の無い村人たちの狂気の映画撮影に巻き込まれていくのだった──。
予告編と同時に解禁されたメインビジュアルには、遺影のようなホッパーの姿が捉えられ、「死に場所を、探せ」とキャッチコピーが添えられている。
完成した映画は1971年ヴェネチア国際映画祭で好評を博すが、観客を戸惑わせる難解な内容と前衛的な構成に困惑したユニバーサルのトップにしてハリウッド最大の権力者ルー・ワッサーマンは、再編集を指示。
それをホッパーが断固拒絶したことで、映画は短期間での公開後ほぼお蔵入りの状態となった。
この騒動でますます酒とドラッグに溺れたホッパーは、映画監督としてはその後約10年間の空白期間を迎えることになった。
映画とは、芸術とは何かを問いかける、過激な芸術映画にして失われた傑作が今現在、問いかけるものは何か──。公開に期待が高まるところだ。